関東地方を中心に猛威をふるった台風19号が通過して1年あまり。相模原市でも、8人の尊い命が奪われ、緑区をはじめ甚大な被害をもたらした。発生直後から、相模原市は国、県などと共同で、精力的に復旧に努めてきた。市担当者は「地域の協力も大きく、この1年で災害に対する住民の意識が高くなってきた」と話す。本紙では、台風被害による各分野の影響や現在の状況をまとめた。
市は、台風19号被害に対応するため、これまで災害復旧費・救助費として、昨年12月に約36億7400万円、今年3月に17億円の補正予算を計上、今年度も約25億400万円の予算を計上して、その対策に取り組んできた。こうした予算は、国道413号などの道路整備にあてられた。その成果もあって、被災直後52路線あった全面通行止めの道路は、現在国道・県道ですべて解除され、規制が残るのは7市道のみとなっている。
民間の力が結集
台風被害からの復旧を巡っては、民間からも寄付金やボランティアなど多くの協力があった。「義援金」は3月末時点で窓口などに191件、計約4255万円、インターネットなどを通して、ふるさと納税として税額控除の対象となる「災害支援寄附金」が3月末時点で753件、計約2826万円に上る。
被災直後の復旧活動には、相模原青年会議所や相模原商工会議所青年部、市社協など全市域からの団体、個人が大きく尽力した。土砂崩れや水害による家屋の損壊など、被害が特に大きかった旧藤野町では津久井JCや藤野商工会青年部など地域の若者たちが即座に「災害ボランティアセンター」を立ち上げ、復旧を支援。会員メンバー各々の得意分野を活かし、重機、車両、工具を持ち寄り復旧作業をし、炊き出しなどを行った。当時藤野商工会青年部の部長を務めていた神田光隆さんは「当時の経験は現在の高い防災意識に確実につながっている。今月も藤野地区は、雨によって土砂崩れが発生し、県道522号線は通行止めになった。さらなる防災に対する備えを急がなければならず、市、社協、商工会で災害時に、素早くボランティアセンターを立ち上げることができるように協議を重ね、また防災備蓄の確保にも力を入れている」と当時の経験の意義を振り返る。
防災意識に変化
市はソフト面でもさまざまな防災関連の対策を実施する。特に、被災直後は避難場所が遠かったり、その所在位置を認識していない住民が多かったことから、「風水害時避難場所運営マニュアル」の作成や、災害の危険性がある地域に重点を置いた「洪水ハザードマップ(串川・道志川)」を改定した。
作成・改定に関しては、説明会などを開催して、住民との対話を重視。市は「職員の研修・訓練も強化し、実践に即した対応をしていきたい」と話す。
被災4カ所で献花
12日は本村賢太郎市長が、死者が出た串川・中村橋、神之川キャンプ場、上野久保災害現場、新和田災害現場の4カ所を訪問し、犠牲者を悼み献花した。本村市長は「本市の復旧・復興は、5月に策定した『相模原市復旧・復興ビジョン』に基づき、今後も全力で取り組んでいきたい」と、被災地域と協力して官民一丸で取組む姿勢を示した。
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