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不妊治療 見通し、相模原の現状は? 市内医師に聞く

社会

公開:2020年11月19日

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インタビューに答える医学博士の佐藤氏
インタビューに答える医学博士の佐藤氏

 菅義偉首相が不妊治療の支援に力を傾けている。およそ30年前から拡大を訴えてきた鹿沼台・ソフィアレディスクリニックの佐藤芳昭院長に今後の見通し、相模原市の現状を聞いた。

 ――菅首相が拡大をめざしています

 「保険適用の拡大を視野に入れるなど、具体案が出始めた。患者にとって大きな前進となる。早急に進めてもらいたいと思う」

 「ただ、日本は世界の中でみると不妊治療の後進国。体外受精をより広めるなど抜本的な改革が必要と考える。国には広い視野をもって不妊治療に関する取り組みを進めてもらいたい」

 ――相模原市の現状は

 「保険が適用されない治療費の一部を助成するという国の事業に沿って支援を行っているが不十分と考える。近隣の大和市や愛川町ではその内容にプラスした取り組みを採用している。相模原ももっと新たな支援策を進めてもらいたいところだ」

 「不妊治療において、相模原市民が恵まれている点が体外受精の受け入れ先に近いこと。市内には3カ所しかないが、施設が充実している横浜や東京への利便性が高いのは恵まれていると思う」

 ――「不妊の定義」を広めることが有効な改善策になると

 「子どもを希望する夫婦が1年たっても妊娠しないようであれば不妊を疑うべき、ということ。そう自覚しないまま年を重ね、適齢期を過ぎてしまう夫婦が多いのが現状だ。定義を広め、目安を設けることは大切と考える」

 ――そこで問題となるのが男性の意識だと

 「不妊は女性が問題と見る傾向にあるが、データを見ると原因となるのは男性、女性ともに半々。治療を受ける際は男性も自分が原因になっている可能性があると自覚するべきだ。協力する男性が増えていけば、治療の成功率が全体的に上がっていくのではないか」

 ――また、治療に関して企業からの支援もより必要になると

 「今後より大切になっていく。治療を希望する夫婦は主に30代と仕事盛りの年代。治療のための休みを取りやすくするなど、企業の支援は欠かせないもの。国にもそんな視点も持ちながら支援策を進めてもらいたい」

 「もちろん、出産数のみ増やすことでは子育ては成立しない。出産後、子育てへの不安が和らぐよう会社内に保育所を整備するなどの環境づくりも、企業には求められることになると思う。そういう意味でも相模原はまだ不十分だ」

 ――市には子育てしやすい町づくりを進めてもらいたいと

 「市が動けば企業も取り組みを始める。子どもは社会の宝。地域で子どもを育てていくといった考えを広めていくことは町の発展にもつながると思う」

 ――新型コロナウイルスの影響で春以降、治療を受ける夫婦が減少しているそうだが

 「顕著だ。コロナが収束してもその選択肢は減る一方ではないか。そのためにも体外受精を進めていくべきと個人的には考えている。現在は倫理観の問題で日本では進んでいないが、学校での性教育の在り方の見直しを含め考えていくべきだ」

不妊治療に力を入れるきっかけの一つとなった、世界初の体外受精児として生まれたルイーズ・ブラウンさんとの面会を2年前に果たしたという同氏=ソフィアレディスクリニック提供
不妊治療に力を入れるきっかけの一つとなった、世界初の体外受精児として生まれたルイーズ・ブラウンさんとの面会を2年前に果たしたという同氏=ソフィアレディスクリニック提供

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