南区上鶴間本町に本店を構える(株)家具の大正堂の裏手に広がる斜面地で、清掃や自然の保全、観察などの活動に従事してきた「境川の道正山河畔林を守る会」(小野きく代表)が昨年12月、その活動に幕を下ろした。2002年の会設立から足掛け18年。数名の住民有志が始めた運動は、豊かな自然を守る大きな一助となった。
道正山河畔林とは、大正堂本店から境川までの緑に覆われた斜面のこと。自然豊かな植物や野鳥の宝庫だったが、人目に付きにくいこともあり、いつしか粗大ごみの不法投棄場所となっていた。「守る会」は、同地に生息する動植物の保護の大切さや地球温暖化防止などを訴え、「河畔林を少しでも残したい」と、小野代表を始めとする数名の近隣住民で設立された。
当初は清掃活動がメインで、03年、04年には境川の斜面緑地を守る会らとともに大規模なゴミ拾いを実施。05年からは境川クリーンアップ作戦にも参加し、自然を守る活動に従事してきた。しかし、河畔林は次第に住宅地へと変貌を遂げ、境川にかかる西田橋から深堀橋までの範囲に集約される形で「高木道正山河畔林」として残された。
同河畔林は他の会が整備活動を継続するため、守る会も解散か存続かをメンバーで協議。大正堂の理解もあり、同店の裏斜面に残された貴重な緑地の保全活動に携われることになったため、観察などを続けるため存続を決めた。「荒れた笹薮だった斜面を、緑豊かな斜面林にして次世代に引き継ぐこと」、それが会の目標になった。
同会の活動は毎月1回。雑草の手入れや清掃、植物や野草の観察など多岐にわたる。もちろん全員がボランティアだ。斜面整備のほか、境川クリーンアップ作戦への継続的な参加、境川の水質調査、鎌倉古道保全要望など積極的に活動してきた。その継続的な緑化貢献活動が認められ、2016年11月には(公財)ソロプチミスト日本財団から「社会ボランティア賞」を贈られている。さらに18年からは相模原市から依頼を受け、植物などのモニタリング調査にも協力してきた。
しかしメンバーの高齢化もあり、活動への参加者も減少。昨年12月15日に活動日誌「道正山だより」の最終号を発行し、守る会は解散となった。
自身も82歳となった小野代表は「植物の豊かさや種類を観ることができ、本当に楽しかった」とこれまでの活動を振り返った。また「すでに亡くなった仲間たちにも、よく頑張ったとほめてもらえるのでは」と笑顔を見せた。
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