このシリーズコラムでは、相模原の司法の現状と課題について、市にゆかりのある弁護士が解説する。大谷豊氏が担当。
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現在の司法制度に大きな影響を与え、相模原の司法制度を考える上で重要な基礎となったものに、2001年に発表された司法制度改革審議会の報告書があります。今回は、この司法制度改革審議会の報告書について紹介します。
1999年7月27日、当時の小渕恵三内閣は、司法制度の利用者である国民の視点に立って、21世紀の我が国の社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹の在り方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基礎的施設について調査し審議することを目的として司法制度改革審議会を設置し、2000年12月に中間報告を、01年6月12日に最終報告書を小泉純一郎内閣に提出しました。最終報告書(以下「審議員意見書」と言います)は、【1】「国民の期待に応える司法制度」として、利用しやすく、迅速、適切かつ実効的にその使命を果たしうる司法制度の構築、【2】「司法制度を支える法曹の在り方」として、高い資質を備えた多数の法曹の養成、確保その他人的体制の充実強化、【3】「国民的基盤の確立」として、国民の司法参加の充実を通じた司法に対する国民の理解の増進および信頼の向上、という3つの柱からなっています。
1つ目の国民の期待に応える司法制度の具体的な内容は、主に、裁判所の機能の充実、労働関係事件の早期解決、裁判所へのアクセスの拡充、裁判外の紛争解決手段の拡充・活性化などで、2つ目の司法制度を支える法曹の在り方の具体的な内容は、主に、司法試験制度の改革、法科大学院制度の構築、法曹人口の拡大、司法を担う弁護士、検察官、裁判官の求められる資質・能力の向上などで、そして3つ目の国民的基盤の確立の具体的な内容は、主に、刑事訴訟手続きへの新たな国民の参加制度の導入などで、この審議員意見書に基づいて、それぞれの実現に向けて、司法制度全体の改革が進められることになったのです。
これらのうち、労働関係事件の早期解決の観点から3回の審理で解決を図る労働審判制度が、裁判所へのアクセスの拡充の観点から民事法律扶助制度を拡充させて総合法律支援法が制定され、これに基づいて日本司法支援センターが、そして、刑事訴訟手続きへの国民の参加制度として裁判員裁判制度が、それぞれ創設されたのでした。
この審議員意見書に基づいた司法制度改革により創設された制度が相模原にどのように影響するのでしょうか。次回で検討したいと思います。
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