南区在住の児童文学作家・小川英子さんが昨年、ゴブリン書房から出版した『王の祭り』がこのほど、2020年度の「日本子どもの本研究会作品賞」に選ばれた。
同賞は国内で出版された0歳から15歳までの読者に向けて出版された「子どもの本」を対象に、同研究会が選定した「絵本」「児童文学」「科学・ノンフィクション」「そのほか」の部門の中から選考を行い、優れた作品に贈られる賞。同会の50周年を記念して創設され、今年で5回目の実施となる。
今回は1114作品の中から60作品が候補となり、教員や学校司書、評論家などから構成される8人の選考委員によって協議を重ね、4作品が選ばれた。
子どもの好奇心や想像力を刺激
同会が「幼児から小学生、中学生以上から楽しめる読み物」と位置付ける「児童文学」の分野で作品賞となった『王の祭り』は、16世紀のイングランドと戦国時代の安土城が舞台の壮大な歴史ファンタジー。小川さんが約4年の月日をかけて書き上げた力作だ。選考委員からは「有名な史実を織り交ぜ、時空を超えたファンタジーで脚色したストーリー展開は、読書の醍醐味を満喫させてくれるおもしろさがある」「実在の歴史上の著名人を身近に感じさせ、世界に眼を向ける好奇心を刺激した」「子どもたちの視野を広げ、探求心や想像力を掻き立たせる力を物語から感じる」などの高評価を得た。
小川さんは「子どもの本に長年携わっている選考委員の方々に、時間をかけて作った本が認められて、すっごくうれしい」と、満面の笑みを見せた。常に歴史物を追いかけ「調べているか、書いている」と語る小川さん。現在も「ある」時代の物語を執筆中だそう。
同書の問い合わせは、ゴブリン書房【電話】0422・50・0156へ。