小児がんなどの病気や先天性の要因、事故によるケガなどで頭髪を失った子どもにウィッグを贈る慈善活動「ヘアドネーション」に、田名小学校に通う齋丸隼(はやて)くん(6年)が挑戦している。材料となる毛髪を寄付しようと一昨年の冬頃から始め、今では胸の辺りまで伸びた。毎朝、自分でブラシを使って整え、後ろで一つに結っている。それでも、ウィッグにするために必要な長さは工程上の理由から最低31cmとされており、あと10cmほど伸ばす必要がある。隼くんは小学校卒業時に寄付することを目標に伸ばし続けている。
妹の寄付がきっかけ
隼くんが髪を伸ばすきっかけは、妹の弥(あまね)ちゃん(1年)のヘアドネーションだった。テレビで同活動を知り、関心を持った母の和泉さんは、生まれてから髪を切ったことが無かった当時3歳の弥ちゃんの毛髪を寄付することに。長く伸びていた毛髪を複数の束に分けて結い、はさみを入れた後、寄付される毛髪の全量を見て隼くんが感じたのは「1人だけの寄付じゃ全然足りない」。
医療用ウィッグ1台を作るのに30人以上の寄付が必要となる。寄付する毛束の中にはさまざまな長さの毛髪が含まれているが、同じ長さだけを集める必要があるためだ。「自分も誰かの役に立ちたい」。同活動に興味が湧いた隼くんは、中学生になれば校則で長髪にできなくなるため、「最初で最後のチャンス」と髪を伸ばす決意をした。
「からかわれても気にしない」
伸ばし始めて約1年半。当初は学校でクラスメートに好奇の目を向けられたり、からかいの言葉を投げかけられた。公共施設の男子トイレに入ろうとすると「そっちは女の子じゃないよ」と注意されることも。
和泉さんも、弥ちゃんが髪を伸ばしている時とは異なる周囲の反応に戸惑いもあったという。「女の子が髪を伸ばすことは何も言われないのに、どこに行っても説明が必要で大変だと感じた」と和泉さん。
一方で隼くんは「全然気にしてない。伸ばすことをやめようとも思わない」ときっぱり。「いつかウィッグを受け取る人に喜んでもらえたらうれしい」と話し、トリートメントやオイルなどで保湿したり20分かけて丁寧に乾かすなど、毎日のケアに励んでいる。
ヘアドネーション団体「JHD&C」によると、現在ウィッグを待機している子どもは307人(7月10日時点)。隼くんは「男女を問わず、協力してほしい」と呼びかけた。
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