日本花菖蒲協会の会長で、今春花菖蒲に関する図鑑を発行した 清水 弘さん 緑区相原在住 68歳
花菖蒲に魅せられ45年
○…「花菖蒲は江戸時代から伝わる日本古来の植物。西洋の花とはまた異なる、繊細で優しい色合いの美しさにずっと惹かれている」。穏やかな口調で見渡す先には、長年庭で育てている約1600鉢の花菖蒲が広がる。今春、500花以上の花菖蒲を掲載した図鑑を共著で発行。長年の花菖蒲愛をまとめた自信作だ。
○…就職時、「なるべく転勤の無さそうなところ」を選んだ理由は、大学で学んだ植物の品種改良技術を自宅で実践するためだ。年に2回の長期休暇は大量の種まきや鉢替えに充当。花が咲き始める初夏から夏にかけては交配の最盛期。朝3時間早く起き、庭を歩いては「どの花とどの花をかけ合わせようか、思いを巡らせるのが楽しみの一つだった。妻や娘たちは呆れてたけどね」。今まで納得できた交配品種は50種ほど。アイリスやかきつばたに力を入れていた時期もあったが、思い返せば人生の半分以上は花菖蒲に魅せられている。
○…花菖蒲には、見た目以外にも面白さがあるいう。たとえば品種ごとに付けられた名前。『十二単衣』『白竜の爪』など、一体どんな色・形なのか、知的好奇心をくすぐるものばかり。「かっこいいでしょ?どれも趣があって素敵なんだ」。自身も新しい品種誕生に備え、旅先で見つけた印象的な地名をノートに書き留めている。
○…「アトリエ」と称する自慢の庭は、5年程前から市まち・みどり公社が行う庭の一般開放事業「さがみはらオープンガーデン」に登録している。アトリエはまだまだ未完成。もっとこの手で生み出したい理想の色・形の花菖蒲がある。「能には果あるべからず」という世阿弥の言葉を胸に、残りの人生もすべて懸けるつもりだ。
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