独演と演奏『朗読演劇の夕べ』を8月6日にメイプルホールで上演する 井上 弘久さん 千代田在住 69歳
信じ続ける演劇の力
○…若い頃から演じることの力を信じ、舞台俳優として険しい道のりを歩み続けてきた。朗読演劇には、映像とも、文学とも違う魅力があると語る。「演じる僕を100人が観れば、それぞれが違う想像をする。観客の心の中に世界が描かれるきっかけをつくっている」。相模原には20年前から住んでおり、一時は自治会役員を務めるなど地域活動にも熱心だ。この夏、相模原の地で、深い思い入れのある作家・石牟礼道子の作品を含む舞台を上演する。
○…東京都・広尾生まれ。人前で話すのが苦手な子だった。高校2年の学園祭のクラス劇で、端役ながらも長台詞を任され、演劇の楽しさを知る。「現実は取り返せないけれど、演劇は何度でも練習して修正できる」。大学卒業後は町工場に就職するも、27歳のときに劇作家・太田省吾の舞台『小町風伝』を観てその美しさに衝撃を受ける。「研究生として一から学びたい」と、太田氏が主宰する転形劇場への入団を決めた。故・大杉漣さんは劇団の先輩で、「本当に面倒見のいい人だった」と懐かしむ。同劇団解散後、同期の仲間と劇団「Uフィールド」を旗揚げ。俳優、また演出家として約20年間夢中で走り続けた。
○…還暦を過ぎ、朗読劇の独演を始める。自分なりの表現を模索していた2015年、立ち寄った図書館で石牟礼道子の『椿の海の記』を目にすると「自分の大切にしているものがここにある」と確かな感触を覚え、18年から約3年かけて全11章を演じきった。現在も石牟礼作品を中心に、各地で公演を行う。
○…これからは、常に日本中のどこかで『椿の海の記』を演じている状態を目指す。「俳優は、70代が一番脂ののっている時期。ここから目一杯勝負する」
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