相模原麻溝公園(南区麻溝台)で釣り堀遊びを提供する 野口 徹也さん 南区相模台在住 78歳
公園おなじみ”釣りおじさん”
○…「ねぇねぇ、これ何の魚?」「やだ、戻したくないよ」―。麻溝公園の遊具広場の一角にできる、日曜の賑やかな人だかり。よく晴れた日、そのブルーの”海”では、子どもたちの活き活きとした笑顔がきらめく。シートの上には、100種1200匹の厚紙でできた生物たち。「『僕もいいんですか?』っていう大人もいるよ(笑)」。親世代も、思わず童心に返り磁石の付いた釣り糸を垂らす。アジやカレイ、毛ガニやイカ、クラゲだっている。ようこそ、ここは公園名物”野口さんの釣り堀”だ。
○…繊維問屋に勤め、その半生を相模原で過ごす。相武台団地には約40年暮らした。60歳後半から、公民館で児童対象のボランティアを開始。一緒に野外を散策した。04年から麻溝公園も活動のフィールドのひとつに。集まった子どもたちに喜びを与え続け、先月には見事、8年間で100回目のボランティア活動を達成した。
○…生き物の絵を描くのが好き。図鑑を見ながら素描し、水性マーカーで色をつける。作品は、この釣り堀や他のレクリエーションで使用。釣りの後に進呈しているカクレクマノミのお面は手作りで、一週間で百枚作成しなくては追いつかない。すぐにインクもなくなり、週に一度は大野の画材屋に駆け込むことになる。
○…子どもらは釣り堀で遊び、その経験を学びへと昇華させる。魚の名称・旬はもちろん、ルールを伝えることも忘れない。「たくさん獲ったら魚がいなくなる。海へ返してあげよう」。そう呼びかけることで、参加者は生態系保護へと思い至る。「昔は親や学校以外の他人が教えてくれ、関わってくれる時代だった」。団地にいた頃は、知らない子どもも何十人と引き連れて、近郊の公園へ出かけた。「釣り堀は体が続く限りね」と、にっこり。とても近所の”カミナリおやじ”にはなれそうもない。そのかわり慈愛に溢れた柔和な笑顔が、これからも公園で見られそうだ。
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