元・私立高校教師の長谷川敏(さとし)さん(=今号人物風土記で紹介)がこのほど、『回想のミクロネシア・ベールに包まれていた南洋の島々』(矢立出版/123ページ)を自費出版した。著書では、昭和31年からの9年間に、現在のミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国、パラオ共和国で見聞した、現地の貴重な様子がレポートされている。
当時、アジア航空測量(株)の社員として、現地に赴いた長谷川さん。星の活動を観察し、各島の緯度・経度を測量するのが業務だった。そこはアメリカが統治し、南太平洋の一大ミサイル軍事基地(マーシャル諸島ケゼリン島)を要していた重要拠点。そうした理由から、南洋の島々は戦後のおよそ20年間、外国人はもちろん米国人さえも立ち入りが厳しく制限されていた”ベール”に包まれた土地だった。「民俗・風俗学的な観点からも、戦後の空白期間を若干埋めるものと思っています」と、長谷川さん。当時の会社の観測仲間に勧められ、筆を執る運びとなった。
「半裸の住民」「水爆」
もともとは、日本の統治下にあったこれらの国々。戦中を懐かしみ、「日本ノ時ノ方ガヨカッタ」と、長谷川さんは行く島々で歓迎されたそうだ。滞在中の現地人の多くは、男性はふんどし=上写真、女性はコシ蓑(みの)を巻きつけ、上半身裸の姿で生活。中には石や貝の貨幣を使う島までもあったという。
また、当時アメリカは周辺の環礁で原水爆の実験を繰り返していた。ドーンという大きな爆発音が聞こえた時の様子も記されている。
異国でのそうした体験が詰まった一冊を手に取りたい方は、長谷川さん【電話】042・746・4842へ連絡を。なお価格は、1050円となっている。
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