事実を受け入れることができる人は強い―。被災当時や今置かれている現状は皆それぞれだ。そこで、「現実を、自分の中で受け入れられているかどうか。これが今、人によって大きく違っています」。東日本大震災の捉え方は、客観的な被害の大きさに関係しないという。妻を亡くし、子どもを亡くし、それでも逞(たくま)しく前を向いている人もいる。震災以前の人生観が、震災後の生き方に繋がっているのではないか…。被災地の子どもや家族を取材し続ける中で、ジャーナリスト・森健さんが、強く感じたことの一つだ。
東林地区まちづくり会議主催による森健さんを招いた講演会が先月16日、南区相南で行われた(演題『つなみ』被災地の子どもたちの作文集から伝わるもの〜東日本大震災から知る家族・地域の絆〜)。防災意識啓発などを目的に企画されたこの講演会には、150人に及ぶ住民が参加。森さんから語られる、被災地からの”本音”に、じっと耳を傾けていた。
震災発生から数カ月間、現地はいわゆるパニック状態であったが、その混乱は現在だいぶ落ち着いてきているという。しかし2年という歳月が経過し、また新しい問題が次々と起っている。昨年からは福島県へ赴き、家族への取材を進めている。「住まいが(一時的にでも)安定すると、少し心に余裕ができた分、現実に目を向けなければならなく、一層将来への不安が高まっていく」。そしてその精神的な疲弊は、体に出てきてしまう人もいる。「うつ状態になってしまうのは大人だけでなく、子どもの間でも多い。ただ話を聞いてあげるだけでもいい、継続的な精神面でのケアが必要かと。2年の間でも状況は日々変わってきています。未来を担う子どもたちの記録として、これからも追っていきたい」と被災地へ足を向け続ける思いを語った。
また、「メディアの間ではインターネットやツイッターが便利だったなどといわれているが、被災地でそんな事実は聞いたことがない。本当に支えてくれたのは自衛隊だった、と皆口を揃えています」とも話していた。
さがみはら南区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
源氏物語を知る4月18日 |
|
|