神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS

帆掛け舟 ついに復元 新磯「新」シンボル 6月お披露目

公開:2013年5月2日

  • LINE
  • hatena

 明治から昭和初期まで、物資を運搬するため相模川で航行していた「帆掛け舟」。かつての生活道具などの収集・保存に努めている団体「市磯部民俗資料保存会」(南区磯部/田所輝夫会長)では、一昨年から、この舟の復元を試み、このほど2艘(そう)が無事、完成を迎えた。特別に発注していた木製の帆柱も5月中には出来上がる見込み。長さ8m、最大幅1m40cmの立派な船体が、この6月にも一般に公開される。

 「まさか、大工が見つかって、新しい舟作りができるなんて夢にも思わなかった」。磯部の川沿いで育った会員のこの男性(70代)にとって木舟は、いつしか若い頃の原風景の中だけのものとなった。かつて、帆掛け舟は重要な水運として活躍。しかし戦後は小型の釣り舟などが川面を賑わせ、自然とその役割を終えた。

 保存会では約30年前に一度帆掛け舟を復元=左下写真。しかし、それは川釣り用のコンパクトな木舟。現在は老朽化が目立ち、会員から「新しいものを作りたい」という声もあがってきていた。ところが作り手がいない。「相模原周辺にいる舟大工は廃業したと聞いていた」と一度は、新船を保存会では諦めた。

 しかし一昨年の秋、状況は一転。保存会・会員の知人が、「趣味でこれまで20艘ほど木の舟を制作したことがある」とわかった。その知人とは大工の田所武久(たけひさ)さん(相模台)。15年ほど制作を止めていたが、保存会メンバーの熱心な説得もあって今回、復元を挑戦することに。昨秋、緑区青野原の杉(丸太3本)を舟型に削りはじめた。500本近い釘は市販のものは使わず一つ一つ手作り。当初一艘のみの予定だったが、材料に余裕があったこともあり、もう一艘作ることに。このほど、きれいな木目の”新シンボル”が完成した。

 「猛暑の日でも、水の上っていうのは、本当に涼しいんだよ。気持ちのいい一時を過ごすことができるね」と、地元で育った60代の関係者は話す。戦後、この新磯や中央区田名地区の相模川沿いには、いくつか料亭があった。磯部の「梅よし」もそのひとつ。東京からの、ちょっとした観光スポットになっていた。

 訪れる人のお目当ての一つが、「遊船会」=右写真。川に木舟を浮かべ、釣れたての鮎を焼いて一杯。同乗の芸者が酌をしてくれるという優雅な遊びだった。「いい避暑の過ごし方だったんだろうね。自分たちの幼い頃は、そんな光景がよくあったね」。梅よしは三段の滝のそばにあったが、新磯橋の改修と共に、姿を消してしまったという。

 船上でお酒は飲めないが、この夏には真新しい舟が、涼しき水面へ来訪者を誘う。恒例の帆掛け船の乗船イベントは、8月上旬に予定されている。

 なお、保存会では6月にこの新船のお披露目を行う計画(進水式)。問い合わせは、【電話】046・251・6633(田所会長)へ。
 

モノクロ写真はいずれも磯部民俗資料保存会提供。右は昭和30年頃の屋形船。左は昭和58年、最初の復元で完成した舟。会が中古で探したものだった
モノクロ写真はいずれも磯部民俗資料保存会提供。右は昭和30年頃の屋形船。左は昭和58年、最初の復元で完成した舟。会が中古で探したものだった

さがみはら南区版のトップニュース最新6

市内全区で上昇率拡大

地価公示

市内全区で上昇率拡大

リニアと駅近で住宅需要増

4月18日

介護者居場所に自宅開放

相模台モンステラ

介護者居場所に自宅開放

県から表彰

4月18日

「ある」県内5自治体

災害時トイレ「独自指針」

「ある」県内5自治体

本紙が33市町村に調査相模原市は国基準で備蓄

4月11日

命名権の制限数を廃止

相模原市

命名権の制限数を廃止

財源確保へ1社多数も

4月11日

不便地域で乗合実験

県タクシー協相模原地区会

不便地域で乗合実験

市と協定、5月から

4月4日

登録数1,000件突破

さがみはらSDGsパートナー

登録数1,000件突破

企業や団体同士の連携も

4月4日

あっとほーむデスク

  • 4月6日0:00更新

  • 1月19日0:00更新

  • 12月1日0:00更新

さがみはら南区版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月18日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook