相模原南警察署(綿引(わたびき)直也署長)で6月17日、南区内の郵便局・銀行・農協・信用金庫全49店舗で構成される「相模原南金融機関防犯連絡協議会」(細谷繁利会長、鵜野森郵便局長)の会員を対象とした、「振り込め詐欺抑止緊急対策会議」が行われた。南区内で振り込め詐欺の被害が急増していることを受けて、同署が企画したもの。
会議には、同協議会の約40店舗の従業員が参加した。綿引署長が冒頭に「振り込め詐欺は神奈川県下で全般的に増加している」とあいさつ。中でも南区では現在、発生件数が県下でも突出していることを説明し、被害を未然に防ぐため、顧客への注意喚起を強化するよう要望した。
同署生活安全課によると、同署管内で今年1月から6月17日までに発生した振り込め詐欺は16件。最近は、現金を指定口座に振り込ませるのではなく、犯人が子や孫をかたり、第3者に受け取りに行かせる「手渡し型」と呼ばれる手法が主流となっているという。
犯人からの要求理由は、「電車・タクシーで鞄をなくした」(現金、小切手、契約書、携帯電話、修学旅行積立金などを紛失)、「仕事の不始末」(社債の穴埋め、会社の金や研究費を株などの投資に使い込む)などが報告されており、中には男女関係のもつれなどを理由にしたものも。総じて他人に相談しづらく「世間への建前に付け込んだ」内容を持ちかけてくるという。
口上まで指図
個人情報は卒業アルバムなどから割り出されるケースが多く、南区で被害が頻発している一因として同課は「区内の学校の卒業アルバムが続けて手に渡り、次から次へと狙われている可能性も考えられる」と話す。
水ぎわでの犯罪阻止を図る金融機関の目をかいくぐるため「リフォーム代に充てる」「冠婚葬祭費用」「入院・治療費」「自宅の金庫に保管する」「口座を変える」などと払い戻しの理由を説明するよう犯人側からの細かい指図もあるという。
「必ず家族に相談を」
被害を防ぐため同課では「受け渡し場所を指定された場合、自分の子や孫本人は絶対に来ない。現金を受け取るのが赤の他人であれば、まず詐欺を疑うこと」と呼びかける。また電話の相手が「人に知られたくないから内緒にして」「家族には自分から言う」などと口封じをするのも「犯人の常套(じょうとう)手段。電話が来たら必ず家族に相談を」と話した。
同署では、高齢者が狙われやすい年金支給日(毎月15日)における区内ATMの警戒強化や自治会での防犯講話などを行っている。また金融機関防犯連絡協議会では、警察から委嘱された「振り込め詐欺防犯指導員」を各店舗2人以上配置。利用者に対し、より踏み込んだ声掛けをしている。
同協議会の細谷会長は、「預貯金を払い戻す窓口は最後の砦」と気を引き締める。「少しでも怪しいと思ったら、担当者がいろいろな方法で注意を促していくしかない」と話した。
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