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東日本大震災 「私はまだ避難者」 緑区原宿在住・鹿目(かのめ)久美さん

公開:2014年2月27日

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 東日本大震災・福島第一原発事故から3年が経とうとしている。主婦・鹿目久美さん(46)は福島県を離れ、緑区原宿の実家で自主避難を続けている。鹿目さんに今の心境などを聞いてみた(2月17日取材)。

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 鹿目さんは2005年、結婚を機に、夫の故郷・福島県へ移り住んだ。長女が生まれ、2008年には大玉村にマイホーム=上写真=を手に入れた。豊かな自然と人情ある地域環境に恵まれ「子育てには最高」の場所だった。

 2011年3月11日、東日本大震災が起こり、翌日、福島第一原発が爆発する。自宅は原発から約60Km。しかし当時、事故のことは知らず(情報を手に入れられず)、爆発から3日目の14日にガソリンを購入するため、長女と長い時間、屋外で列にならんだ。「あの時娘を被ばくさせてしまった」。今もその思いは残る。その夏、家を出ることを決意。夫と離れての暮らしを選択した。

 「避難してよかったね」と言われ、そんな言葉にさえ傷ついた。避難しても何も解決しないし、家族が離れて辛いだけだから。「当事者にしかわからないことがある。福島に住む友だちに電話をして愚痴をこぼしていますよ」。放射能のせいでどれだけ人生を狂わされ、今も苦しんでいることだろう。「ずっと一ヵ所にいて、ぬるま湯につかるのは嫌なので」と、仕事は短期の職種を繰り返す。自分に厳しくなった。震災を経験し、「何かに頼らず、強く生きよう」と決めたのだ。

 「アンダー・コントロール」と演説され、東京オリンピックが決定した。被災地の復興もままならない現状。政府に怒りはない?そんな取材を受けた。「今更、怒りもわかない。震災以来、ずっとこんな風に理不尽な思いをさせられてきたから」。自宅には昨年5月以来、戻っていない。しかし自ら被災地ツアーに参加し、南相馬市など他の地域を見てまわった。「知らないことが恥ずかしいから」

 毎年この時期になると取材依頼が雪崩れ込む。「嫌だな」と思うことがある反面、「知ってもらういい機会だから」と取材を受ける。「この気持ちは絶対わかってもらえない」「でも少しでもわかってもらいたい」。そんな狭間で心はずっと揺れている。

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 東日本大震災から丸3年が経とうとしている今もなお、被災の影響により、388人が相模原市内で暮らしている(市調べ・2月20日現在)。

鹿目さんによる福島の様子
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