ATM「お金戻る」「お金必要」焦らせる要求に注意
振り込め詐欺の被害が止まらない。神奈川県警によれば、県内で昨年1年間に発生した件数は1340件で、東京都に次いで全国で2番目に悪く、被害総額は約41億2300万円と過去最悪の数字となった。さらに今年に入って、そのペースを上回る勢いで被害が増え続けている。
県では2倍以上
昨年1月から3月末までに県内で発生した被害件数が153件だったのに対し、今年の同時期は353件と2倍以上に増加した。相模原南署管内においても同様の状況で、同署生活安全課によると2012年に16件だった年間の件数は昨年、47件と急増。県内の他地域と比較しても特に被害が目立っている。この深刻な事態に警察や金融機関では様々な対策を講じているが、今年に入ってもすでに同管内で18件、約4750万円の被害が発生(4月18日現在)。未然に防いだという案件も報告されているが、被害も増え続けている。
振り込め詐欺の種類は、「オレオレ」「還(かん)付金(ぷきん)」「架空請求」「融資保証金」の4つに分類される(上図参照)。中でも現在、特に被害件数が多いのは、「オレオレ型」と「還付金型」だ。
オレオレ詐欺は、電話の相手が息子や孫を名乗り、「小切手・書類が入った鞄を失くした」(【1】仕事上のミス)、「携帯の通話料が払えない」(【2】借金)、「女性を妊娠させてしまいお金が必要になった」(【3】不倫や妊娠にかかわる示談金)などの名目で、金銭を要求してくる。
最初に「携帯電話をなくした」「携帯の番号が変わった」と伝えてくるのが大きな特徴で、ほとんどの場合が振り込ませるのではなく、弁護士や会社の上司などに扮した第3者が直接金銭を受け取りに来る。電話をした本人が受け取りに来るということはまずない。
「息子を助けたい」
「息子を助けたい」という親心が、一刻も早く金を準備しなければと冷静さを失わせる。また電話の相手が金を必要としている理由が「他人に知られたくない」内容であることから、詐欺の疑いを持っても誰にも相談できない。「オレオレ詐欺の事は、本当によく知っていたし周りの人たちからも注意をされていた。自分だけはだまされるはずはないと思っていたのに」(同課資料より)。実際に被害に遭った70代女性の声だ。
自覚ないまま
一方、還付金詐欺の被害も急増している。市区役所や社会保険事務所の職員を名乗った相手から「医療費の過払いがある」「健康保険の還付がある」「書類が届いていないか」などと自宅に電話がかかってくる。そして、「手続きをすればお金が戻ってくる」とATM(現金自動預け払い機)へ言葉巧みに誘導。「今日が期限」などと焦らすような文言を使ってくるのが特徴だ。
ATMに着くと、機械の前で「手続きの方法を説明するから」と、電話で「コード番号」「お客様番号」「暗証番号」などの数字を教えてくる。ところが、この数字が実は振り込みの金額で、電話を受けた側は本人の自覚がないままに数字を打ち込んでしまう。通話の中で預貯金の残高を聞きだし、数回に分けて入力をさせることもあるのだという。
最近では、職員などの監視の目がない、金融機関の店舗外(無人)やスーパーマーケット、コンビニエンスストアのATMを指定してくることが多いという。「昨年から、南区上鶴間地区と相武台地区への入電(電話がかかってくる)が多い」と同課では注意を呼びかける。南区内の被害が多い理由については「明確にはわからないが、なんらかの名簿を入手している可能性はある」と話す。
同署では、水ぎわでの犯行阻止を図るため、払い戻しや振り込みの”最後の砦”となる南区内の郵便局・銀行・農協・信用金庫全49店舗で構成される「相模原南金融機関防犯連絡協議会」や、コンビニなどへの呼びかけを強めている。
平日の日中が多く
また、不審な電話が報告された地域や、警察が「異常な状態」と判断した時に、市の防災無線「ひばり放送」を活用できるように昨年、市側に要望。今年2月から開始された。ほかにも、バスや一部商業施設内での注意喚起の放送など、詐欺への対策を強化している。「土日や盆、正月など、家族が集まるときは被害が少なく、逆にウィークデーは多い。不審な電話を受けたら、一人で悩まず、まず周囲の人に確認・相談をして欲しい」と同課では話している。
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