アレルギー表示漏れ 患者の集まりが要望書 観光協会などへ
ボーノ相模大野にあるsagamix
慢性のアレルギー性疾患および呼吸器疾患をもつ患者の会「ＮＰＯ法人相模原アレルギーの会」（南区南台／会員数約３８０人）は６月５日、相模原市観光協会などを訪れ、「ｓａｇａｍｉｘ（さがみっくす）における食品表示不適合に関する要望書」を提出した。
原材料情報は「命綱」
同会の野口隆理事長はじめ、会員４人が観光協会、市商業観光課、市保健所を訪問した。
この要望書は、同協会が運営する相模原市のアンテナショップ「ｓａｇａｍｉｘ」（南区相模大野）において、「商品の特定原材料の表示漏れ」が昨年６月、今年4月と、２回にわたって起きたことを受けて作成された。
昨年６月の際は「小麦不使用」と販売していた米粉製ピザに、実際はアレルギー原因物質である小麦のグルテンが使用されていた。また、今年4月は、あるチョコレートの原材料の一部に「乳」が含まれているにもかかわらず、それを表記していなかった。あるクッキーの着色料について「色素」との記載のみで、具体的な物質表示がされていないこともわかった。
微量で激しい反応も
食物アレルギーを持つ患者は原因となる食物を摂取すると、皮膚・消化器・呼吸器などに症状が表れる。極微量の原因食物を摂取しただけで激しいアレルギー反応（アナフィラキシー）を起こすこともあり、最悪の場合には「命を落とす」事態もありうる。
「容器包装された加工食品には、特定原材料を表示する義務があり、食物アレルギー患者は表示情報を信じて食品を選択しています。表示は患者にとって命綱といっても過言ではありません」と同会。今回、２回にわたる同ショップでの表示漏れを受け、強い危機感を持ち要望書を提出するに至った。
仕組みづくりなど求める
要望書では「消費者庁発行の表示ハンドブックに基づいたアレルギー表示マニュアルの作成」「製造者から正確な原材料の報告を受ける仕組みづくり」などを求めた。受け取った同協会の阿部健専務理事は、「再発防止に努め、間違いのないものを提供していきたい」と話した。同協会では今後、食物アレルギーを熟知した専門家を講師に迎え、製造者、スタッフへの講習会などを開き、知識を深めていく考えだ。
「解ってほしい」
訪問を終えた同会の野口理事長は「お互い『何とかしたい』と思っていると感じた」と前向きに話した。
同ショップで扱う商品・商材は主に、相模原市内の生産者、製造者から仕入れている。今回のような表示漏れを防ぐには、店頭での対応だけでなく、納入業者とのアレルギー情報に関する知識の共有が必要となる。４月の件を受け、店舗では店内すべての食料品の表示ラベルをチェック。アレルギー表示だけでなく、食品表示に関する法律の基準と照らし合わせ、不安のある商品は一旦撤去した（製造者に確認後販売再開）。また、商品管理に使用している「商品カルテ」を改良。アレルギー物質のチェック項目を設けるようにした。
患者の会の思い
「卵・牛乳・果物（マンゴー）にアレルギーがあった孫は、それまで誕生ケーキやクリスマスケーキを食べたことがありませんでした。はじめて、卵・乳抜きの白い（デコレーション）ケーキを、家族みんなで食べた時の本当に嬉しそうな顔を忘れられません。『皆と同じものが食べたい』『食べさせたい』、そんな必死な思いを解っていただきたい」。同会前理事長の北島芳枝さんは実体験をもとに話す。また「決して、クレーマーだと思わないでいただきたい。特にアレルギーを持つ子どもに対してはそれを成長の一過程として受け止めていただきたい。我々は食物アレルギーという疾患をきちんと理解していただける社会環境を作っていきたい」と思いを語った。
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