著書「新憲法の夜明け」が海外の大学図書館に置かれることになった 小玉 正朋(まさとも)さん 相武台団地在住 88歳
平和への精神 後世に託す
○…太平洋戦争で敗戦した日本に、新たな憲法が制定されるまでの過程を分かりやすく記述した解説書「新憲法の夜明け」を、昨夏に自費出版した。本編だけでなくポツダム宣言条文、日本国憲法なども資料として掲載。「世界に平和をもたらしたい、そんな願いが込められた憲法の精神を海外の人にも知ってほしい」と英訳もつけた。想いを込めた手紙と共に海外の大学に送ると、ハーバードなど7大学から「図書館に登録する」との返事が届いた。
○…父親が陸軍の鉄道部隊に所属していたため、小学校は満州で過ごす。戦火を避けて帰国したが、日本の状況も悪化の一途をたどった。移り住んだ千葉から見えた、東京の空が赤く染まる景色は今も目に焼き付いている。「思えばあの体験が、平和について考える原点かもしれない」。戦後は建設会社に就職し、79歳まで勤務。退職後にふと、「曾祖父の伝記でも書いてみようか」と思い立ち、文筆活動を開始した。戦争の資料などを読み漁るうち、憲法の意義の素晴らしさに気が付いた。
○…息子と娘は独立し、現在は妻と二人暮らし。趣味の短歌では3つの句会に所属し、団地の広報誌でも短歌コーナーを担当する。10年程前に家族で出かけたイタリア旅行で、ピサの斜塔にいたく感動。その時に作った歌が、沼津で開かれた歌の会で3番目の賞を取ったことが自慢だ。ただ過去の経験からか、世相を切る歌になってしまうことが多く、「花鳥風月が書けないんだよね」と苦笑する。
○…世界各地で、今も無くならない紛争やテロリズム。「戦争なんて起きていいことは一つもない。リアルに想像力を働かせることが大切だよ」。戦争を体験していない、特に若い世代に警鐘を鳴らす。また、「報道や言論の自由など、身近な変化を敏感に感じてほしい」とも。「長生きさせてもらったから、後は伝えていくことが僕の役目かな」。優しく目を細めた。
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