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市長インタビュー 相模原創生目指す市政を 「将来の経済成長を念頭に」

社会

公開:2017年1月1日

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インタビューに答える加山市長
インタビューに答える加山市長

 2017年の年頭を飾る企画として、本紙では加山俊夫市長に対し、新春インタビューを行った。加山俊夫市長は相模原市の未来に対する構想や考え方、厳しい財政状況下での2017年度予算などについて率直に語った。

(聞き手/本紙さがみはら南区編集長・佐藤豪)

 ――早速ですが、昨年(2016年)を振り返っての感想をお聞かせ下さい。

 「あっという間に過ぎた1年でしたが、嬉しい話、残念な話など色々ありました。これまでと同様、市民の皆様の安心で安全な暮らしを実現するための施策に取り組んできました。

 子育て環境では、県内の政令市では初めて、保育所への待機児童「0」を2年連続達成出来たことは良かったと思っています。ただ、内容を精査しますと、希望と合わなかったり、様々な事情により入所が保留となっている方もいますので、全ての方のニーズに対応できる受け入れ体制づくりを積極的に行っていきたいと思います。児童クラブは、共働き世代のニーズに対応するため、大幅な定員拡大(2016年度に450人を拡大)を行い、早期の待機児童解消に取り組んできました。

 防災関係では、東日本大震災の教訓を受けまして、市民の安全確保のため、様々な対策を進めています。4月には防災備蓄物資の充実と、相模原市が被災した際の生活必需品などの救援物資を効率的に受け入れることを目的として、清新学校給食センター跡地に「救援物資集積・配送センター」を開設しました。

 さらに、災害に強いまちづくりの実現に向け、「さがみはら防災・減災プログラム」により、2013年度から15年度までの3カ年を集中期間と位置づけ、市内全世帯への「防災ガイドブック」の配布など、即効性のある事業を行ってきました。さらに昨年3月には、災害対策の充実、効果的な防災体制の構築を目指して、「地域防災計画」の見直しや市内22地区における「地区防災計画」の策定など、地域防災力の一層の向上を図ったところです。

 スポーツ界では嬉しい話が色々とありました。初めは箱根駅伝で、相模原市に練習の拠点がある青山学院大学の2連覇で始まりました。

南区を物流拠点に

 青山学院は10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝でも優勝しており、今年の箱根では史上4校目となる学生三大駅伝制覇を達成してくれることを期待しています。リオオリンピックでは南区出身で飛板飛込の坂井丞選手が念願の日本代表として出場しました。パラリンピックでは、車椅子テニスを総監督として率いた南区在住の中澤吉裕さんが、女子シングルスと男子ダブルスを銅メダル獲得に導き、視覚障害者マラソンでは、相模原市の職員である青山由佳さんが、「きづな」という名のロープで選手を導く伴走者として、道下美里選手の銀メダル獲得に貢献しました。11月にはホームタウンチームであるノジマステラ神奈川相模原が、結成5年目で女子サッカーなでしこリーグ2部で優勝をし、今年はいよいよ県内初の1部リーグ昇格をします。昨シーズンはチャンスがありながら、入れ替え戦で引き分けに終わり規定上昇格を果たせなかった。1年間その悔しさをバネに選手が頑張ったということで、引き続き皆で応援していきたいと思っています。

 一方7月には、緑区にある障害者支援施設・県立津久井やまゆり園で、多くの命が奪われるという許しがたい事件が発生しました。こうした事件が2度と起こらないようにするためにも、一人ひとりが障害者への理解を深め、偏見や差別をなくすことが重要です。共生できる社会を形成するためにも被害に遭われた方の対応と併せ、国や県など各自治体と協力しながら、しっかりとやっていきたいと思っています」

 ――新年度予算編成の骨格、テーマ、重点施策をご説明下さい。

 「人口減少、少子高齢化、先行き不透明な経済情勢など、課題が複雑化、多様化する中、相模原市では「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」に基づき、地方創生に向けた取組を進めています。

 まず大切なのは、財源の問題です。市民税などの市税収入の増加が期待できないことや、一部地方にも還元される消費税率引き上げが1年半延期になった影響があります。一方、歳出部分では医療や福祉、生活保護などの扶助費の増加や老朽化する公共施設の改修や更新などにより、引き続き厳しい状況になっています。

 これらを踏まえ、2017年度の予算編成においては「後期実施計画の着実な推進」「地方創生の取組の推進」「持続可能な都市経営の推進」を基本的な考え方として、取り組んでいきます。その中で、市政運営に当たっての重点項目を5つほど挙げさせてもらいました。「全ての市民が安全で安心して、心豊かに暮らせるまちづくり」「次代を担う子どもの健やかな成長と豊かな心を育む環境づくり」「にぎわいと活力に満ち、多様な交流が生まれる都市づくり」「環境を守り、自然と共生する社会づくり」「地域の個性が光り、市民が主役のふるさとづくり」です。

 これに加えて何と言っても、経済成長が出来るような都市づくりをしなくてはなりません。地方創生=相模原創生ということを考えますと、都市力の増強が必要です。ご存知の通り、相模原は今、全国でも有数の大きなプロジェクトが進んでいます。まず、リニア中央新幹線の神奈川県駅の設置が橋本に決まっています。リニアの開通により、首都圏3600万人と中京圏2000万人を合わせた5600万人が一つの経済圏になるスーパーメガリージョン形成の一翼として、橋本駅周辺地区は期待されていますし、圏央道のインターチェンジと併せ、交通の重要な結節点として重要な地区となります。この橋本駅周辺地区と、相模総合補給廠の一部返還地や共同使用区域の活用が見込まれる相模原駅周辺地区の2地域を複眼的な要素を持たせ、整備を進める「広域交流拠点整備計画」を昨年8月に策定し、「人や企業に選ばれる都市づくり」を進めていきます」

 ――南区を中心に計画されている新しい交通システムについてお聞かせ下さい。

 市内の鉄道は市の外縁部を通っているため、市内間の交通の充実が長年の課題でした。自家用車に頼ることの出来ない高齢者などが利用できる公共交通の必要性が高まると考えています。そうした中、昨年11月に「新しい交通システム導入基本計画」を策定し、路線バスをベースとしたBRT(幹線快速バスシステム)の導入を予定しています。専用レーンなどを設けることで、定時性・速達性の確保や輸送力増大に大幅な改善が期待できます。この計画に基づき概ね5年以内に交差点の改良や、バス専用停車スペースの整備などを行い、急行バスの運行や、連節バス車両の導入を目指します。

 導入区間は、小田急線の相模大野駅から北里大学・病院や女子美術大学を経由し、JR原当麻駅に至るルートです。今後は地域や地権者との合意形成、導入区間の確保に伴う協議、BRTの運行、既存バス路線網の再編など、関係者などとの調整を進め、早期実現に向けて取り組んでいきます。

この計画は、高齢化社会を視野に入れており、先々は市内全域につなげていきたいと思っています。

 また、圏央道相模原・愛川インターチェンジの周辺に新しい産業ゾーンとして、当麻地区と新磯野・麻溝台地区の開発に入っています。広域交通網が整備され、地理的に不利だった状況が解消されるのですから、物流の拠点にもなりえます。さらに、サテライトと言って様々な部品を集めて最終的な製品を作り上げ、消費地域に輸送する拠点にもなり得る訳です。このように大きく環境が変わっており、可能性を秘めているのです。

 ――最後に新年に向けて、本紙読者へのメッセージをお願い致します。

 「子どもたちや若者、働く世代、高齢者など、市民の皆様一人ひとりが安全で安心して心豊かな暮らしを送っていただけるよう、そして、将来に向けて夢や希望が持てるよう、教育・福祉・医療・子育てなど、市民生活に直接関わる施策の充実と未来を拓くまちづくりに取り組んでいきます。

 市政への変わらぬご協力を賜りますようお願いするとともに、本年が皆様にとって素晴らしい1年となることを心からお祈り致します」
 

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