高齢化の進展に伴い、認知症などによって成年後見制度の利用が必要となる高齢者の増加に対応するため、相模原市では市民の目線や立場で活動を行う「市民後見人」養成研修を2015年度から実施している。その第1期生16人が、3月27日に約1年半にわたる研修の修了式を迎え、市で初となる市民後見人候補者が誕生した。
成年後見制度は、認知症や知的・精神障がい者の権利を守るため、家庭裁判所によって審判された成年後見人が、本人に代わり財産管理や必要なサービスを契約し、権利や生活の支援を行うもの。国内では2007年に高齢化率21%を超える「超高齢社会」を迎えており、今後、同制度の利用者は急速に増加していくことが予想されている。
こうした背景から、高齢者が住み慣れた地域で尊厳を持って生活できる「地域包括ケアシステム」の構築に向けて、各自治体では「市民後見人」の養成を進めている。相模原市でも2015年度から養成研修を開始。報酬を求めないボランティア活動ながら、説明会には約200人が参加し、作文などにより選考された40代から70代の19人が研修に進んだ。そこから約1年半にわたり、基礎、実務、実践、現場の各研修を実施。すべてを修了した16人が市民後見人候補者となった。
地域社会へ貢献
3月27日に行われた修了式には15人が参加。養成研修に携わった弁護士会や司法書士会、社会福祉士会などの代表も出席し、祝辞を述べた。修了証書を授与された修了者代表の上村莊平さん(74)は「1年半、研修をしていただいた皆様にお礼を申し上げたい。今後は市民後見人という立場を自覚し、地域に貢献できるよう勉強していきたい」と力強くあいさつした。
研修修了者は同日にボランティアグループ「市民後見人の会さがみはら」を設立。市や社会福祉協議会が行う成年後見制度の普及啓発事業への協力や、研修会・事例検討会などのほか、他市の市民後見人との交流なども図っていくとした。
市長申し立ての受皿に
市民後見人候補者は市に登録され、市長が成年後見を申し立てる事案の中から、市民後見人として家庭裁判所に推薦すべきか検討。家庭裁判所に選任されることで、初めて市民後見人の活動開始となる。
65歳以上を対象とした相模原市の市長申立事案は増加傾向にあり、2015年度は24件、16年度は4月から12月までで27件となっている。
さがみはら南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|