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中央区在住山本さん 南極観測隊で活躍中 景色を癒しに任務を全う

社会

公開:2020年8月20日

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 中央区清新在住の山本貴士さん(48)が、第61次南極地域観測隊として遠く離れた世界の地で活躍している。山本さんはオーロラなどの天文現象に対する地球の変化を観測。来年の2月に任務を果たし帰国予定で、「南極を知らない人に様子を紹介したい」と話している。

 岡山県出身の山本さんは、金沢工業大学を卒業後、「日本マランツ」への就職を機に相模原へ移り住んだ。そこで無線機設計の経験を積み、市内で無線機の修理や設置工事などを行う会社を設立。その後、腕を買われて都内にある大手無線通信機器メーカー「八重洲無線」に転職し、フィールド・エンジニアとして全国を飛び回っていた。

念願の南極へ

 南極観測事業は昭和基地をベースに、オーロラの観測や厚い氷床の掘削、鉱物の調査や隕石の発見、動植物の調査などを行い、地球の姿や宇宙との関わりを研究・調査する国家事業。隊員は大学や企業からの派遣や公募などで選定される。

 「以前から南極に興味があった」という山本さんは、2018年に観測隊へ応募。すると研究グループから声がかかり、翌年に国立極地研究所「宙空圏研究グループ」の特任助手として採用された。採用直後はエンジニアとして国内各所を回っていたが、しばらくして現地で活動をする観測隊への参加を打診された。もともと南極で活動することを志願していたため、喜んで受諾。初めての派遣が決まったと家族に伝えると、「南極という遠い地に実感が湧かなかったのか、『本当に行くの』と言われた」

 観測隊は、夏の3カ月間南極に滞在する夏隊と1年を通して南極に滞在する越冬隊に分かれている。越冬隊に所属する山本さんは、昨年11月に成田空港を出発。オーストラリアのパースまで飛行機で移動した後は、「砕氷艦しらせ」で海洋観測を行いながら移動し、12月30日に相模原から約1万4千キロ離れた南極・昭和基地に到着した。

アンテナ保守も担当

 山本さんは宇宙から降り注ぐ宇宙線や地磁気、大気電場、オーロラ、太陽活動など天文現象に対する地球の変化の観測を担当している。観測を行うための設備の保守・管理も業務のひとつであり、山本さんは昭和基地で最も大きなアンテナ設備を任されている。南極では強風を伴う吹雪が何日も続くことがあり、アンテナ設備の破損が頻繁に発生。その都度修理し、継続的な観測が行えるよう努めている。

 苦労はやはり「寒さ」。アンテナ修理などで20メートルほどの高さの鉄塔に登り作業するため、「マイナス20度を下回る時期は、南極仕様の防寒着を着ていても寒さを感じる」と話す山本さん。「文化圏から離れ、草木のない環境はこの世の果てを感じる。地球ではない星に来たよう」としながらも「ここでしか見られない景色を満喫できる喜びもある」と心の内を話す。

 観測隊は来年1月に昭和基地を出発し、2月に帰国予定。帰国後は「感動したこと、辛かったこと、さまざまな姿を見せる南極の自然の様子を紹介したい」と意気込む。「南極生活もあと半分。残りの時間も精一杯活動したいと思います」
 

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