日本を代表する芸術家・岡本太郎氏の遺志からスタートし、今年で14回目を迎えた”現代アートの登竜門”と呼ばれる「岡本太郎現代芸術賞」(川崎市岡本太郎美術館主催)。同賞の大賞「岡本太郎賞」にこのほど、市内在住のメンバーが多く集うアーティスト集団「オル太」が選ばれた。今年は氏の生誕100年ということもあり、一際注目を集める中、その若手芸術家集団に注目が集まった。
「時代を創造するのは誰か」―。氏のその言葉を問うための賞として、1998年からスタート。氏がよく口にしていたという”ベラボー”な作品が集まり、ユニークな賞として毎年話題を集めている。これまでに、山口晃氏、天明屋尚氏、開発好明氏、今井紀彰氏といった、現在第一線で活躍する若手作家が過去の受賞者として名を連ねる。
第14回となった今年は、氏の生誕100年にあたる記念イヤー。東京国立近代美術館や同館で記念イベントが開催されるほか、氏の生涯を描いたドラマが制作されるなど、例年以上に注目度が高い中で行われた。同賞には818点の応募があり、27点が入選。その中から「オル太」が大賞を見事受賞した。
多摩美生で結成
「オル太」は、2009年に多摩美術大学絵画学科の3、4年生(当時)11人で結成。メンバーのうち、5人が市内在住。日本の古き良き時代の風景を作品にし、多くの人とコミュニケーションを生み出すことを目的に活動を行っている。これまでにも、奇抜な巨大作品などを相模原市民ギャラリーでも展示するほか、丸太を10人で担いで一昼夜ひたすら歩くなど、ユニークな作品を数々生み出している。
祠(ほこら)でパフォーマンス
4月3日まで美術館で観覧可
今回の受賞作品名は「つちくれの祠」。竹や木、土、藁など美術作品では珍しい素材を使った巨大な”ハリボテ”だ。そこに、メンバーが”供え物”としてパ フォーマーに扮して登場することで作品が出来上がる。パフォーマンスが物を作る基になる原始パワーを表現しているのだという。「むきだしのエネルギーとパ ワーが感じられる作品で、岡本太郎生誕100年の気分にふさわしい」と評価され、大賞に繋がった。オル太のメンバーのひとり井上徹さんは「これに満足せ ず、日々精進していきますので、これからも温かい目で見守ってやってください」と受賞の感想を話している。
なお、受賞作品は、同美術館 で4月3日(日)まで観ることができる。メンバーのパフォーマンス「祠TIME―生供物」も、今月12日(土)、20日(日)、26日(土)、4月3日 (日)の10時〜17時に予定されている。詳細については同美術館【電話】044・900・9898へ。
【岡本太郎美術館】川崎市多摩区枡形7―1―5/小田急線向ヶ丘遊園駅から徒歩約17分。
受賞作品「つちくれの祠」
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