「岡本太郎賞」を受賞した芸術家集団『オル太』のメンバー 井上 徹さん 緑区橋本在住 24歳
作品の面白さは空気感で
○…「岡本太郎さんは誰もが知っている。その人の賞なので、すごく光栄です。その名前に恥じないように気を引き締めて活動していきたいですね」。受賞の喜びをそう笑顔で話す。報告を受けたのは、アトリエで。掃除をしている時に美術館から電話が掛かってきた。「メンバーが電話を受けている時、”何かあるな”って思いました。終わったらそれはもう…」。その場でみんなで受賞の喜びを爆発させたという。
○…「オル太」のメンバーのひとりとして活動の一役を担う。専攻は油絵。4年生の時に仲間内でグループを結成。名前は”太いやつがおる”の略語。「図太いとか、物怖じしないとか、そういう意味なんです」と苦笑する。毎回11人で会議を行い、作品を決める。その基準は”面白いかどうか”。「話し合いの場の空気感が大事。突発的だったり、練ってみたり。その空気感が作品の面白さに繋がるんです」。メンバー内で”太いコミュニケーション”を重ねて作品を生み出していく。
○…緑区青根の出身。小さい頃から絵を描くのが好きだった。小学校の卒業文集には「一浪して多摩美に入る」と書いていた。実際、その通りに歩んだ。「上には上がいるって気付いて、一般の大学も考えたけど…」。”好きなことをやればいい”。親や友達がそう後押ししてくれた。そして、進んだ道で掴んだのが今回の受賞。「今まで賞を取ったことがなかったので、認めてもらえた、やってきて良かったなって」と笑顔をこぼす。
○…昨年大学を卒業し、現在は教員の資格取得を目指して学校に通う。4月以降は、アルバイトをしながら芸術の道へ。オル太以外でもNPO団体の紙芝居の絵を描いたり、友人の結婚式のグッズを作ったりと個人的な活動も行っている。「オル太で次の展示に向けて全力で取り組んでいきたい。その中で個人の作品も少しずつ作っていきたいですね」。緑区から芸術家の名が新たに加わった。