ミニ画廊「うめのえ」の代表 江口 義臣さん 緑区橋本在住 78歳
「絵に携われているのが幸せ」
○…橋本で40年近く続いた和菓子屋からミニ画廊へ。3年前に趣味が高じてリニューアル。自分の絵を飾る画廊として立ち上げ、今では多くの人が個展などで利用する。「大勢の人に使ってもらえれば、この付近も活気づくかなと…。作品を見てもらう機会の少ない学生さんにぜひ利用してもらえれば」と笑顔を覗かせる。
○…兵庫県相生市の出身。中学を卒業後、勉強のために上京。下宿先となったのが練馬の和菓子屋だった。そこで和菓子作りを学んだことから、この道を進むことに。「まさか自分が商売するとは思わなかった。食べることに必死で将来の自分なんて思い描けなかったから」。5年の修業を経て独立。昭和47年に橋本に移り、約40年、地元の人たちの舌を楽しませてきた。
○…絵を始めたのは、独立して3年ほど経った頃。辞めたアルバイトの子が残していった水彩で絵を描き、作品を店に展示。すると、偶然和菓子を買いに来た絵画評論家に絶賛されたという。「絵が得意とは思っていなかったんだけど」。その出会いをきかっけに、趣味を深めていく。休みの日はスケッチブックを片手に出掛けては、独学で風景画を中心に絵を描き続けた。美大の先生から「本業に」と薦められたこともあるという。「クセが強い」という画風は、作品展での受賞経験もあり、作品集を出版、個展を開くほどの腕前だ。
○…もともと画廊を始めたのは、奥さんが体調を崩したこともあったから。病院の送り迎え、看病を続ける日々。「妻として申し分のない人。病気をしてからお互いに分かり合えるようになった」と声をつまらせ話す最愛の奥さんは今年1月に他界。気持ちはまだ絵に向かない。ただ、画廊に展示される絵から刺激を受けているという。「この年で好きな絵に携われているのが幸せ。周りの人たちが協力してくれてありがたい。自分も頑張らないと」。優しいその眼差しは新しいキャンバスを探している。
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