相模湖がおもしろい! 新春特別企画 「水源のさと」を「音楽のさと」へ 街の新しい魅力づくりを
「地元で本物を聴ける。そんな環境がここにはある」
県の水源地として、その存在が改めて注目される相模湖は、長らく観光地として多くの人に愛されてきた。その相模湖で今、新たな魅力ある街のあり方を模索し、”音楽”を通じた街づくりを進めている人たちがいる。”水源のさと”を”音楽のさと”に―。活動の中心を担う橋本登志子さん、山田兼道さん、小山内清弦さん、秋山道夫さん、鈴木杏奈さんに話を聞いた。
―観光地として多くの人たちが訪れてきた相模湖ですが、改めてどんな街なのでしょうか。
橋本・私は生まれも育ちも相模湖。昔は、相模湖と言えばそれなりにネームバリューがあった。逆に、隣の藤野が”芸術の街”としてブランド力があがって注目されていて、こっちはダウンが激しい。なぜかというと文化的なものが欠如しているから。ハード面を変えようとしているだけで、誰かに作ってもらうんだと皆がそう思っているところがあるような気がします。
山田・相模湖のこの豊かな自然環境に魅せられてこのスタジオ(座談会の会場)を建てましたが、大いに満足しています。都心から40Kmの近距離で湖を囲むこの静かな景色が大好きです。仕事で来るタレントやモデル、特に外人のモデルが心地良さで仕事が終わってもなかなか帰りません。
小山内・相模湖といえば、湖とピクニックランド(現プレジャーフォレスト)のイメージ。協会の会長をやらせてもらっていますが、いまだに旧津久井4町は別だと考えている人がいる。一緒になったんだから、一緒にやっていこうよと言ってるんですよ。私は「文化の相模原」で売っていった方が良いと思っていて、藤野が芸術の街だし、偶然にも素晴らしい施設を持つ相模湖交流センターがある相模湖は”音楽の街”というのがいい。緑区にも音楽をやっている仲間がいるので、相模湖の人たちが中心になって羽ばたかせてあげてほしいですね。
―秋山さんはその交流センターの館長になられて1年になりますが、積極的な活動をされていますね。
秋山・ここは何よりもホールが良い。神様の贈り物としか言いようがない。著名な奏者が来るたびに「こんなに良いホールはない」、聴衆も「こんなに良いホールがあったなんて」と言ってくれています。ピアノは、ベーゼンドルファーというウィーンの珍しいもので、独特の響きで奏者も聴衆も惹きつけています。ホール+ピアノというと「音楽」。街づくりのうえで、ここがその文化の発信拠点になっていきたいですね。また、8月に花火大会に合わせてやったJAZZコンサートも好評でした。そういうのを続けていけば、”音楽の街”として定着していくと思います。小山内さんにも出演をお願いしていますが、地元参加がコンセプト。3月には韓国のチェリストをお呼びしています。ここは歴史的な背景があってあちらの方たちとの結びつきが強い。そういう方たちに来てやってもらうことに意義があると思っています。あと水源地は障害者の施設が多く、その方たちを出演者として、聴衆としてもお呼びしたい。最近、地域の観光資源になってきたというお言葉をいただきましたが、まだまだ。地元参加を進めながら、色々な地域の人たちにも来てもらって経済振興にも努めていきたいと考えています。
―小山内さんは2月に、このホールで津軽三味線の巨匠である澤田勝秋さんと演奏をされます。
小山内さん・そうなんですよ。一緒にやる人はNHKにもよく出演している大変な有名人で、私とは全然。これからは太鼓や民謡コンクールをやったり、地元の子どもを相手にガラクタ音楽会とかのイベントをやっていくのもいいですよね。
―鈴木さんも奏者としてホールでピアノを弾かれたことがあると思いますが。
鈴木・弾いてみるとすごく気持ちいいし、弾きやすい。ピアノがいいというのもあるけど、低音の響きに特色がありますね。ホールの響きもいい。いい意味でごまかせない、すごく楽しいという人もいます。個人的には上手に聴こえるかなと感じます(笑)。
山田・ホールの幅と奥行き、高さの構造のバランスがそうさせるのでしょう。丘の上にこんな素晴らしいホールがあるのが驚きでした。最初にコンサートを聴いたとき、涙腺が緩んだくらいです。また450席はオールS席ですね。都心のホールは最新の音響技術を駆使しても理想通りにはいかない。館長も言っていたけど、まさに神様の贈り物。ただ残念なのが、ホールの名前がないのでイメージがわかないですね(笑)。
小山内・音楽好きの人は絶対このホールははまる。
秋山・コンサートをやった方が「ここは弾いていて楽しい。また弾きたいと思わせてくれる」と言ってくれたんですよ。
山田・演奏者の皆さんのこの評価がうれしいですね。
橋本・多目的ホールで音楽ホールじゃない。たまたまなんですよね。音楽が好きな人は相模湖にもいっぱいいます。良い物に触れたいけど、東京に行くのもしんどいし、お金もかかる。ここで生で本物を聴ければこんな良いことはない。ぜひ皆さんに「ここで聴いて下さい」と言いたいですね。
―そうした想いから交流センター友の会を作られたのですか。
橋本・前は東京まで出て音楽を聴いていたけど、遠いから時間を気にして帰ってこなければいけなかった。音楽家と触れ合う場、生で会話ができる場は、音楽の輪を広げる方法のひとつ。そうやって交流することで、また相模湖にお客さんが増えるんじゃないかと思うんです。チラシで案内を送ったりと頻繁に足を運んでもらうために、いろんなことをしたほうがいいと思って。
鈴木・今約60人の方が入会しています。入会していただくと、一割引きでチケットが買えます。あと会員は少し早くチケットが買えたり、交流センター2階の喫茶で使える1ドリンク無料券やDM、手作りのカードを持って会員だよと言えるところが特典です(笑)。
山田・この記事を読んだ音楽好きの人は試しにぜひ来てほしい。論より証拠。定期的なプログラムを年間で組んでやっていけば、きっと都心からも音楽ファンが来てくれると思います。それ位やりがいのある環境を備えていますから。あまりに素晴らしい環境なので、ここに3月から会員制のサロンをオープンさせます。お洒落なライト感覚の本を揃えて、気がむくままにぷらっと来てもらって、静かな自然との対話を楽しんでもらいたいですね。
秋山・音楽家や音楽関係者がこの景観を活かした何かを考えてくれています。ということは、やっぱりここには魅力がある。地元の人は逆に気付いていないんじゃないかと。音楽と自然が調和している街は、他にはないんじゃないかな。
山田・相模湖が好きな人たちが集まってこの輪を広げましょう。
秋山・藤野には、そういう人たちが集中して集まる場所がある。でも相模湖にはない。山田さんや、橋本さん、小山内さんのような、キーパーソンを増やす必要があると思うんです。
―では今後、”音楽のさと”としての街づくりのために必要なこととは何でしょうか。
橋本・音楽を発信する情報誌に載せてもらう。相模原市は神奈川県だけど、東京の方が近い。特に八王子は近いし、一度聴いてもらえたら「また来たい」と言ってもらえるはず。
山田・そうやって発信していけば都心からもすぐ集まりますよ。向こうの人たちは良い物を求めているから。音楽にしろ、食べ物にしろ、話題性に敏感ですよ。
秋山・音楽関係者の方にもっと知らせていきたい。
山田・そのためにも早く名前を決めましょう(笑)。
小山内・貸館としてもやっているんでしょ?
秋山・ホールより貸館としての方が多いです。本物の人、これからの人に提供していきたい。地元の方にもぜひ使ってもらいたいし、聴いてもらいたいですね。 ―相模湖ではお店でコンサートをやっている方々が多いと聞いています。
橋本・多いですよ。例えばヴィヴィエさんとか、相武ボートさん、一元寿司さんも定期的にやられていますし、コーラスとかもやっている方たちが多いですね。
山田・先日もここで50名ほどの皆さんをお呼びして、目の前の移り変わる夕刻の景色をバックにチェロコンサートを開きました。視覚と聴覚がシンクロして、皆さんに大好評でした。
鈴木・若い人たちに来てもらえる魅力ある企画を増やしていきたいですね。
秋山・もちろん地元の合唱団の方にも提供しますよ。特に子どもたちにはぜひ。地元の方に使ってもらう、本物の音楽を提供するために使う。そういう運営をしていきたい。「ギャラリーと音楽」「美術と音楽」と、魅力あるものを提供していきたいとも思っています。
小山内・本物の人に知ってもらえるような活動を。ここには引き込まれるものがある。より多くの人にそれを伝えていかないと。
山田・興味があればぜひ来てほしいですね。
秋山・まずは相模原の人たちにぜひ知ってもらいたい。あの超大物のサリナ・ジョーンズが来てくれるくらいですから。本物が来るのが当たり前になるような活動をしていきたいですね。
|
|
|
|
野菜苗・花苗を育ててみよう4月18日 |
野菜栽培を体験4月18日 |