津久井地域の郷土料理を次世代へ残す活動を行っている「企業組合いろりばた工房」(本田公江代表理事)が10月11日、津久井高校を訪問し、食育の授業で「にごみ」の作り方を生徒たちに指導した。「若い人たちに少しでも先人たちの味を伝えていきたい」と今後の活動への意欲をみせる。
いろりばた工房は、津久井商工会の女性部の有志で1992年に発足。津久井地域の郷土料理を次世代へ繋げ、津久井名物を作って町おこしをしていこうと活動を行っている。
発足当初、地域の高齢者に「津久井の伝統料理は何か」という聞き取り調査を行った結果、数多く挙がったのが「煮団子」(現在のすいとん)や「にごみ」(煮込みうどん)、「焼きもち」「たらし焼き」(練った小麦粉で具材を包み焼いた料理)だった。どれもが小麦を使った料理で、津久井では山間地という土地柄、稲作には適さず麦などが栽培され、その小麦を主食とした粉食文化が根付いていた様子が伺われた。
同団体は「焼きもち」「たらし焼き」を改良し、小麦粉の皮で山菜やきのこ、季節の野菜などの具材を包み、焼いてから蒸し上げる「かんこ焼き」を開発。2007年には農林水産省発表の「農山漁村の郷土料理百選」に選ばれた。
現在、そのかんこ焼きを津久井湖畔の津久井湖観光センターで販売、体験会を実施する他、学校、イベントに出張し、かんこ焼きやにごみの作り方を指導するなど、郷土料理を広く伝える活動を行っている。
生徒「良い経験できた」
今回は津久井高校から依頼を受けて訪問。3年前から食育の授業に取り組んでいる同校で、昨年は「かんこ焼き」を、今年は「にごみ」の作り方を指導した。地粉を練って足で踏むことから始め、同校で収穫した野菜を使って調理していった。井上朱音さん(1年生)は「地元の方たちと交流しながら地域の料理を作ることができて良い経験になった」と感想を話していた。
同団体の本田代表理事は「ぜひ家でも作ってもらいたい。メンバーはみんなもう高齢。TV出演の依頼もあるけれど身の丈にあった活動をしながら、今後も少しでも若い人たちに郷土の味を伝えていきたい」と話している。
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