ひとり親支援事業 「高卒認定」取得へ補助 正規職への足掛かり
市は、ひとり親が高等学校卒業程度認定試験(以下「高卒認定試験」)合格のために受講した講座の費用を一部支給する「ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」を10月から開始する。高卒認定を取得することで、正規職など収入面でより良い条件での就職や転職につなげ、ひとり親世帯の経済状況を改善するのがねらいだ。
同事業は国が昨年8月に策定した、「子供の貧困対策に関する大綱」に示された事業を受けて実施される。子どもの貧困を止めるために重要な親の経済状況の改善が事業の根幹だ。
ひとり親世帯の経済状況は厳しく、2012年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査によると、全世帯の総所得平均が548・2万円だったのに対し、母子家庭の総所得平均は250・1万円にとどまった。
相模原市では、ひとり親世帯を中心に支給される児童扶養手当の受給世帯数は6300世帯で、全世帯の2・03%を占める(2013年3月末時点)。市はこうしたひとり親が経済的に自立した生活を送れるよう、就職、転職での支援策として、保育士などの資格取得に掛かる費用を補助する「高等職業訓練促進給付金」などを設け利用を促進してきた。
ただ、専門学校などに通いたくても入学要件である高校卒業以上を満たしていないために、制度が利用できないといった声も上がっていた。市は今回の事業を通じて高卒認定の取得により、こうした問題の解決を図るとともに、ひとり親の資格取得や、正規職への就職につなげていく考えだ。
具体的には、高卒認定試験合格のための講座を受講した場合、受講費用の20%(最大10万円)を受講が修了した際に支給。加えて、受講が終了日から起算して2年以内に高卒認定試験の全科目に合格した場合は、受講費用の40%(受講修了時の支給額と合わせて最大15万円)が支給される。対象の講座は、高卒認定試験の合格をめざす講座(通信制講座含む)で、市が適当と判断したものに限られる。
制度を利用するには、事前に各区のこども家庭相談員と面談する必要がある。どのような講座が適切か、育児や仕事とどのように両立してくかなどを個別に話し合う。市の職員は「利用前に相談員と十分に相談できるので、安心して利用してほしい」と話す。
ひとり親家庭の問題を専門に研究する和泉短期大学の久保田美沙子助教は同事業にについて、「ひとり親の多くはパートタイムやアルバイトで生計を立てている。正規の職に就く足掛かりとして、こうした学び直しの機会を設けることは重要」と指摘。その上で、「仕事、育児と並行し、計画的に勉強を進めるのは非常にハードルが高い。親同士が交流する機会を設けるなど、ひとり親への心理的なサポートが必要になってくる」と課題を示した。
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