認知症対策の支援強化へ 市、関係連絡会を設立
超高齢社会を迎え、ますます増加が見込まれる認知症。国は認知症の人やその家族を地域で見守り、支援する「認知症サポーター」の養成を進めているが、その養成講座の講師役を務めるのが介護従事者、相談員などの「キャラバン・メイト」と呼ばれる人々だ。相模原市はこのほど、キャラバン・メイトたちがより活動しやすくするための体制整備を目的に、連絡会を設立。主にネットワークを構築し、活動情報などを共有することで、さらなる会員増と会員の活動の幅を広げていく方針を打ち出した。市内3区ごとに複数の拠点を設け、活動の活発化を図るねらいもある。
団塊世代が後期高齢者(75歳以上)に達し、超高齢社会がますます進む10年後は、相模原市でも75歳以上の市内人口が現在の約7万4千人から約12万1千人にのぼり、6人に1人は後期高齢者になる時期が来るとされる。認知症施策について、国が2017年度までに認知症サポーターの養成数値目標を800万人に据え計画を進める姿勢を打ち出した中で、市も約1万7千人(今年3月末現在)いる認知症サポーターを同じく2万3千人まで養成する目標を掲げている。
今回の連絡会の設立は、キャラバン・メイトの中でも市の関係職員ら以外の一般の市民メイトの数が年を重ねるごとに増加し、これまで「活動の場が見つけにくい」や「メイト同士で情報交換したい」といった声を受けたことに起因。市が昨年行ったメイトの活動状況調査の分析結果に加え、一般の認知症サポーターの活動支援などに取り組む「認知症サポーターネットワーク@さがみはら」を展開するNPO法人Linkマネジメント(井戸和宏代表)に多く寄せられた不安の声などが、体制の見直しにつながったとされる。そこで、新たに認知症の人を地域全体で見守る環境づくりのためにキャラバン・メイトが活動しやすい体制を整備する必要や、今年1月に策定された認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の実現をめざすことも含めて、連絡会の設立が実現した。
連絡会は市を事務局として、経験の少ないメイトのスキルアップ支援、活動の場の情報提供、活動展開に必要な教材や講座の開催先の開発、メイト同士の交流の4つを主な活動として想定している。
活動拠点を細分化
活動としては、これまでは市全体を一つの拠点としていたものを、高齢者支援センターが置かれている市内29地区を日常生活圏域と定めて細分化。それぞれをグループ分けすることで各圏域の認知症の人への支援状況、支援できるメイトの数、活動レベルの度合いなどを事務局が把握できるようにし、支援がきめ細かく、全体的に過不足なく行き届くようにしていく。
圏域によってはメイトが存在しない箇所もあるため、連絡会による各圏域のネットワークにより、メイトの多い圏域から少ない圏域にメイトを派遣し補完するなどして、支援の不足を防ぎたい考えだ。こうした体制づくりにより、認知症の人にとっても、安心して暮らせる街づくりの一助になると市も期待を寄せており、「横のつながりを強化し、サポーターの数を増やしたい。そして多くの方に認知症を理解してもらい、偏見をなくすのが大事」と市担当者は話している。
井戸代表は同連絡会の将来性ついて、認知症の人を見守るセーフティーネットの構築と充実につながるとの見方を示しており、認知症サポーターが今後さらに増えていくことで「もっと顔が見え、誰もが安心して暮らすことのできるまちづくりのために、市民のつながりをこの組織で促進していけたら」と会の活動に意欲をにじませた。
連絡会の問い合わせは事務局【電話】042・769・9249へ。
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