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震災避難者 今も市内に350人 ある避難者が抱える想い

社会

公開:2016年3月10日

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時折笑顔を見せながら語ってくれた鹿目さん
時折笑顔を見せながら語ってくれた鹿目さん

 東日本大震災から明日で5年。相模原市によれば、2月25日現在で被災地から市内に避難している人は未だ350人(※)にのぼる。そのうちの一人、福島県から原宿に自主避難してきた鹿目(かのめ)久美さん(48)に現在の心境を聞いた。

 2011年夏、福島県大玉村から母と弟が住む原宿に、当時5歳の娘さんと避難してきた鹿目さん。住んでいた地域は福島原発から距離があり、避難指示区域には入っていない。しかし「放射能は目に見えない。一人娘のことを考えて」自主避難を決めた。

 現在は福島県の親子を相模原市や町田市に招き、保養キャンプを行っている区内の市民団体『母ちゃんず』の一員としても活動する。当初、その活動内容を友人に聞かされても参加する気はなかった。その話が持ち上がった11年秋頃は精神的に辛く、人の為に動ける状態ではなかったからだ。ただ、故郷に対するいわれのない風評や誹謗中傷を数多く耳にした時期でもあった。「これ以上、福島の人に傷ついて欲しくない。福島の為に活動するなら、事実を正しく理解した上で行ってほしい」。その想いを伝えるため『母ちゃんず』の会合に出席。いつしか一員に名を連ねるようになった。

伝え続ける

 福島に住む夫とは、自主避難に関する考え方の相違から別居中。もう3年会っていない。福島を訪れても、住んでいた家には帰らない。それでも住民票は未だに福島のままだ。免許の更新、選挙…、不便なことはいくらでもある。でも移す気は今のところ無い。「最後の意地じゃないですかね」と笑う鹿目さん。「住民票を移して地域に溶け込むことも考えた。でも何も無かったことになりそうなのが怖い。選択したのは自分の意思。だからこそ、避難者であることにこだわりたい」。

 その思いから、避難者の立場として県内各地や都内で講演を続けている。会場は中学校だったり支援活動団体だったり様々だ。地震のこと、福島への想いを話すのは身を削る行為に近い。それでもカウンセリングを受けながら、揺れ動く感情と向き合いながら、マイクを握る。「今は伝え続けていくことが自分の役割だと思えるようになった。私にとっての震災はまだ終わっていませんから」

(※)総務省が統括する「全国避難者情報システム」へ情報提供があった人数と福島県から各都道府県に送られる避難者情報を合わせて市が集計した人数。

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