さがみはら緑区版 掲載号:2018年6月7日号
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「60周年記念 二科神奈川支部展」の公募展で横浜市長賞を受賞した 武野(むの) 脩(おさむ)さん 二本松在住 78歳

黒一色で「色彩」見せる

 ○…微妙な丸みを残して一本一本ナイフで削った4Hから10Bまでの16種の鉛筆が、まるで剣山のようにぎっしりと筆立てに詰まっている。「“黒”が面白い。風や音、空気、光、自然が持つ豊かさや四季の移ろいを、黒一色で表すことに面白味がある。色彩は無いが、そこに色を感じてほしい」。箱からはみ出る数の消しゴムも「画材」の一つ。「“消すこと”は“描くこと”」。雲や霧、雪や山肌を覆う影は「消しゴムで“描く”」

 〇…東京都大田区出身。疎開先の秋田県で終戦を迎え地元に戻る。幼少期は芸術とは無縁だったが高校時代に西洋の絵画に心惹かれ美術部に入部。石膏デッサン(素描)や油絵の創作に勤しんだ。大学では経済学を専攻。絵の道に後ろ髪を引かれ、一時画塾に通ったこともあったが、やがて社会人となり、筆を握る機会もほとんどなくなった。

 〇…製薬会社で営業を7年務め独立も模索していたある日、ふと立ち寄った書店の賑わいを目にして一念発起。1974年、二本松に『カクダイ書店』を興し、地元を主とした外商に努めて業績をあげた。5年前に、店売をやめて教科書の取り扱い一本にすると同時に、息子に事業を承継。引退して自分の時間ができると、飛びつくように絵を描き始めた。当初は素描していたが、かつて読んだ鉛筆画の紹介記事の記憶も手伝い、しだいに鉛筆ならではの味わいに魅入られていった。

 〇…3人の子は独立、連れ添って50年になる妻と暮らす。絵を描くほかは地域の老人会に参加したり土いじりをしたり。7月に初の個展を控え、「鉛筆でしか表せない表現をぜひ観にきていただきたい」と呼びかけるとともに、「スケッチブックを広げれば誰でも気軽にすぐ描ける。お金もかかりませんよ」と鉛筆愛たっぷりにその魅力を語った。

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