神奈川県教育委員会が主催する第47回文化財保護ポスターの「世界遺産登録をめざす鎌倉」部門で、内郷中学校1年の中条匠晴(たくはる)さんの作品が最優秀賞に選ばれた。このポスターの最優秀賞は市内で初めて。中条さんは11月3日に横浜市栄区で行われた授賞式に参加し、表彰を受けた。
このポスター募集は、文化財への関心と保護意識の向上などを目的に、県内の中学生を対象に実施されているもの。「わたしたちの文化財」「世界遺産登録をめざす鎌倉」という2部門に計69校851作品の応募があり、中条さんが受賞した「世界遺産」部門には300作品が寄せられた。
夏休みの学習課題を選ぶ中で中条さんは、歴史が好きなことから「文化遺産なら興味を持って描ける」とポスターづくりに挑戦。制作にあたり、実際に父母と鎌倉を訪れ、「自分が見てきた鎌倉をすべて伝えたい」と作品に詰め込んだ。
「とにかく頭に浮かんだものを納得するよう描くことだけを考えた」と中条さん。絵は水彩で、独特な構図や題材の配置は「思いつくまま」。鶴岡八幡宮の鳥居は「歩き疲れて座り込んだ時に見上げた角度が格好よかったから」と明かし、「形が上手に出せた」という入道雲は陰影以外あえて塗らず、画用紙の白を活用。空の青さを生かすため、文字に色は乗せなかった。「立体感を出すのが大変だった」と大仏の螺髪(らほつ)に苦労するも、「時間をかけて細かなものを描くのが得意」という長所が生きた。探訪中、突然の雨に見舞われたことや目的の寺を間違えたハプニングを振り返り、「思い出づくりにもなった」と語った。
物心ついた時からアニメのキャラクターなどを描くのが好きだったという中条さん。特製キャラカードを作って友人に配るなど、「自分の好きに物語を作って楽しめる。周りも喜んでくれる」と絵に夢中になった。A5判1冊約20頁で小学1年の頃から描きためてきた自作の漫画『ゴメラ』は現在、51冊目を作成中だ。
作画はアートラボはしもとの体験学習や小学校の授業などで学んだ技法を活用するが、頭の中で「こういう絵にしたい」と思い描けば、そのイメージに近づけるために必要な方法を考え実践。型にはまらずに想像を膨らませて描く。「絵を描いている時が一番楽しい」と中条さん。母親の智子さんも「描きだしたら止まらない。夜も布団の中でこっそり描いている」と苦笑い。今は、中学に入って始めたソフトテニスにも打ち込んでおり、「いろいろなことに興味を持って、将来を考えたい」と中条さんは語った。
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