旧津久井町出身で、横浜ベイシェラトンホテル&タワーズのバーテンダー・鮎川創(はじめ)さん(30)が、一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会(HBA)東京支部主催の「第12回創作カクテルコンペティション」で総合優勝(東京都知事賞)を飾った。鮎川さんは、優勝に加え、技術や味覚で審査する「作品賞」とのW受賞となった。
中野小学校、中野中学校、相模原総合高校と、地元で育った鮎川さん。中高時代は中長距離ランナーとして活躍し、かながわ駅伝のメンバーにも選ばれた実績もある。
そんな鮎川さんが接客業を志したきっかけは、家族旅行で出会った「民宿のおばちゃん」の温かい対応にふれたこと。「接客業の最高峰はホテル」と、高校卒業後に観光専門学校で学び、職場となった同ホテルで、バーテンダーに魅せられた。
トップの座を譲らず
大会は年に1度開催されているもので、東京の島しょ地域の飲食材を1つ以上使用した創作カクテルで競われる。これまでは会場の来場者による投票のみで優勝が決まっていたが、今回は令和最初の大会ということから、技術と味覚で争うクラシックスタイルの第1部審査で37人を15人に絞り、来場者投票による第2部との合計で争われた。
鮎川さんは第1部審査をトップで通過。第2部審査でも高得点を積み上げ、トップの座を明け渡すことなく総合優勝を果たした。1部審査のトップに送られる「作品賞」と総合優勝のW受賞は12回目で初めての快挙だった。小さい頃から、何事も優勝に縁遠かったという鮎川さん。今回は「優勝は狙っていたが、特にクラシックスタイルでの審査だったので」と気合いが入っていた。
カクテルを創る際、ネーミングから決めるという鮎川さん。外国人になじみ深い大文字の「TOKYO」に、令和を記念した大会であることから祝いの意味を込め「ブーケ(花束)」を組み合わせた「TOKYO Bouquet(トーキョーブーケ)」とした。
味は、以前使用したことのある「小笠原パッションフルーツリキュール」をベースに、当初、島の花である椿やハイビスカスのリキュールを試したが、「相性が良かった」桜のリキュールに落ち着いた。しかし、ここから試行錯誤が始まる。「甘いありきたりな味な気がする」と、様々な組み合わせを模索。結果、八丈島の麦焼酎「島の華」を組み合わせることで、「見た目の可愛らしさと裏腹に奥行のあるしっかりした飲み口に仕上がった」という。大会では審査員に「レシピを見て、このカクテルだけ気になった」と言わしめるほど、際立つ存在感で高評価を得ていた。
大会の優勝者に与えられる栄光のブルージャケット。憧れの先輩たちと同じジャケットに袖を通し、「『自分が袖を通してるよ』って不思議な感覚になった」という。バーテンダーの先輩でもある同ホテルの前川大輔マネージャーが喜んでくれたことが優勝と同じくらい嬉しかった。「少しは男にできたかな」と照れ臭そうにはにかんだ。
同ホテルのバー「ベイ・ウエスト」では現在、「トーキョーブーケ」を期間限定で提供している。
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