史上最年少で囲碁の名人位を獲得した 芝野 虎丸さん 南区上鶴間本町出身 20歳
「ただ、強くなりたい」
○…令和元年10月、弱冠19歳の青年が囲碁名人戦七番勝負に臨んだ。ファンの期待は「史上最年少名人」の誕生。周囲の注目、期待の大きさは重みとなり、双肩にのしかかった。1局目は敗戦。「もしかしたら一勝もできないんじゃ…」、そんな思いが脳裏をかすめた。だから、「実は2局目の初勝利が、勝負を決めた5局目と同じくらい嬉しかった」と振り返る。肩の荷が下りた後は破竹の4連勝。プレッシャーに打ち勝ち、新たな歴史を作り出した。
○…幼稚園の頃、漫画『ヒカルの碁』のテレビゲームで囲碁を覚えた。兄・龍之介さんと一緒に近所の碁会所に通い、大人を相手に腕を磨くと、鶴園小学校3年生で洪道場に入門。5年生で日本棋院の院生となり、14歳の時に入段を果たしプロ入りした。「でも、プロになるつもりも、熱い思いも全然なくて。いつも遊びたいと思っていました」と苦笑い。谷口中学時代の土日はほぼ対局。体育祭と合唱祭に参加できたのは3年間で1度ずつだ。「でも、修学旅行に行けたのが本当に嬉しくて。楽しみで前の日は寝られませんでした」
○…両親と姉、兄、妹の6人家族。時間があれば囲碁の勉強に明け暮れるが、気分転換はペットの犬と戯れること。そしてカラオケ。年齢の近い棋士仲間とだったり、1人で行くこともあるとか。「何を歌うかは教えません」と笑う。
○…現在は、名人のほか王座にも輝く。「囲碁は特段好きではない」と言い切りながらも勝つための勉強は惜しまない。「タイトルを目標にすると、叶ったときに燃え尽きてしまいそう」。だから、タイトルには固執しない。目標はシンプルに、一局一局頑張って良い成績を残すこと。気負わず自然体のまま、強さのみを追い求める。