相模原市はこのほど、新型コロナウイルスの影響を受ける地元の店舗・企業を利用して消費した代金の一部をキャッシュバックするキャンペーンなどを盛り込んだ総額4億7700万円の6月補正予算案を市議会に上程した。議案が可決・成立すれば、同キャンペーンは新型コロナの影響による経済対策の第4弾となる。
キャッシュバックを実施する新型コロナウイルス経済対策事業には、6月補正の大半を占める4億1400万円を計上した。そのうちキャッシュバック経費は総額3億9000万円を見込んでいる。利用対象は市内に本社・本店を構える店舗・企業で、幅広く利用が行きわたるよう、さまざまな業種が検討されている。キャッシュバック率は約25%を予定。専用の台紙に購入時のレシートを貼りつけて市に発送し、後日利用上限額の25%が返金される仕組み。上限は1万円または2万円を想定している。新型コロナを受けた経済対策としてキャッシュバックが採用されているのは、秦野市のほか、宿泊利用客への現金還元で観光支援を図る鹿児島県霧島市の例がある。相模原市ではキャッシュバックは初めて。
事業者の即現金化図る
市がキャッシュバック案を打ち出した理由として、プレミアム商品券事業では購入時に行列ができると密集した状態になってしまう点や、目の前の経営難に頭を抱える地元の店舗・企業が、購買などによって現金がすぐ手元に入るといった点が挙げられる。地元の店舗・企業に対象をしぼったのは、キャンペーンを通じて地元の経済活性につなげていくためだ。
利用できるのは1家族につき、その人数分となる。実施時期については、議案の可決・成立後、新型コロナの感染拡大の収束状況を見極めた上で判断するが、10月頃を想定している。予算が消化され次第、事業は終了となる。経済効果は利用上限を1万円、利用者を15万人と仮定した場合、約15億円に上る見通し。
新型コロナ関連の市独自の施策としては、3月から5月までの補正予算で組まれたPCR検査の委託費や医療提供体制の確保などに要する経費などの対策費、1社あたり10万円を支給する「小規模事業者等臨時給付金」や商店街などに交付する「商業団体等支援補助金」に次ぐ施策となる。
市は今後も追加支援策を打ち出していく方針を示しており、担当課は、「(追加は)できる限り進めていきたい」と話している。
補正予算案では他にも、新型コロナに対応する医療従事者へ臨時の危険手当制度などを設けた医療機関への補助に5000万円、児童養護施設などへの経費補助に700万円、県が実施している「かながわ子ども家庭110番相談LINE」に参加するなど子どもや保護者からの相談体制の強化に600万円を計上している。