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多様性を考える うちの家の場合 発達障害の子を育てる2人の母親に聞く

社会

掲載号:2021年4月1日号

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久野さんと、今回一緒に取材を受けてくれた長男(22)
久野さんと、今回一緒に取材を受けてくれた長男(22)

 4月2日は国連が定めた「世界自閉症啓発デー」。自閉症とは、対人関係が苦手で強いこだわりをもつなどの特徴がある発達障害のひとつで、2013年からは「自閉スペクトラム症」と総称されている。日本でも、2日から8日を「発達障害啓発週間」とし、当事者への理解や家族への支援を促す期間としている。本記事では、発達障害がある子どもと一緒に暮らす市内の母親2人に話を聞いた。

 中央区にある相模原中央支援学校の中学部に通う、広汎性発達障害の一人息子(13)がいるAさん(中央区在住)。発語が乏しく多動傾向があり、3歳のときに医師から診断を受けたが、「初めての子育てで比較対象もなく、言動に違和感があってもわからなかった」と回顧する。思い出すのは、2歳のときに通い始めた子育てサークルで、一人だけ座ってられずひたすら部屋の外に行こうとする息子の姿。それを見て、「これは続けられない」と悟り、そのサークルは3カ月程で辞めた。「健常児のお母さんたちには話しにくかった。自分が息子の悩みを言うことで場が暗くなるし、成長に対する共感ができない。そのうち空気を読んで距離を置くようになった」と当時の疎外感を振り返る。

 Aさんは息子が幼稚園に入園するタイミングで就職を考えていたため、診断後の受け入れ先探しに奔走した。夫も協力的だったが日中は仕事のため、息子に関するほとんどのことが彼女に偏った。ようやく見つけたのは、障がいに理解のある市内の保育園。入園するには共働きが条件だったため、出産前に勤めていた職場に頼み込み、なんとか職を得て入園。そこで同じ悩みを持つ母親たちと出会えたことは、一生の財産になった。

 息子にはてんかんの持病もあった。いつ何どき発作が起こるか予想がつかず、保育園の3年間で「何回救急車で運ばれたかわからない」。睡眠が発作の予防にいいと聞き、眠りが浅く不規則だった息子の生活スケジュールを必死に整えた。その甲斐あってか、現在は発作が減少。また、この経験がきっかけとなり、今は赤ちゃんの眠りの大切さをお母さんたちに知ってもらうNPO法人の理事を努めている。「悩んだり、苦労して行動した先に、別の道が待っていることもある」と息子との生活の中で開けた道を歩み始めている。

 *   *   *

 中央区在住の久野かおりさんにも、幼少期に自閉スペクトラム症と診断された長男(22)がいる。赤ちゃんの頃は「なかなか寝ない子」で、よく夫と交代で夜通し抱っこし続けた。多動傾向と知的な遅れがあり、診断時は「『ショック』と『やっぱり』が半々。ただ、診断がついた後も長男自身は何も変わらない。それが少し切なかった」という。「ダメ」などの強い否定語を使うと混乱するため、できるだけ寄り添った言葉を選び、「ガラスを扱うように」長男を盛り立ててきた。小・中・高と支援級などを経て、18歳から中央区内の障がい福祉サービス事業所で就労や生活支援を受けている。自宅から事業所までの約3Kmを元気に歩いて通い、家族の会話に合いの手を入れたり、「今日は袋詰めの作業をした」と仕事の様子を話してくれる。

 今回、長男も一緒に本紙の取材を受けてくれたが、久野さんには昔、長男に対し悔いの残る接し方をしてしまったことがあるという。まだ長男が小学生の頃、久野さんが長男と2歳下の妹と風呂に入ったとき、体を洗っている最中に突然湯を浴びせてきた長男をきつく叱ってしまった。しかし今考えると、母親の体が冷えないよう、お湯をかけようとしただけだったのかもしれない。「昔は余裕がなく、長男に対する『気づき』が少なかった。でもあれから、発達障害の勉強や関わり方のカウンセリングを通して少しは変われたんじゃないか」と久野さんは話す。また、「確かに障がいのせいで大変なことはあるけれど、決して不幸というわけではない。長男を中心に、みんなが刺激を受けている」と言葉を重ねる。自身もその一人。長男とのスキンシップや関わりをきっかけに、現在市内を中心にベビーマッサージなどの施術者として、お母さんたちの良き理解者として活動している。

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