公立小学校の1クラスの人数上限を現状の「40人以下」から「35人以下」へ引き下げる少人数学級の早期実現を求める3324人分の署名が、このほど本村賢太郎市長に手渡された。署名を集めたのは、市内の元小・中学校教諭など約10人から成る「相模原の子どもと教育を考える会」(篠崎修代表)だ。
政府は、今年2月に公立小学校の編成人数基準を引き下げる法律案を閣議決定した。2025年度までに、段階的に全学年で1学級35人以下とする方針を掲げている。小1だけは、すでに11年度の法改正で35人以下になっており、翌12年には小2に対して教員を加配配置することで35人以下学級として成立させているが、小3〜6年と公立中学校では40人以下学級となっている。
相模原市でも国の方針に従い、小1・2学年で35人以下学級を実施している。小3がこれに倣うのは22年度からで、その後、年単位で小6まで拡充していく。そんな中、一昨年、市内の元小・中学校の教諭などが「相模原の子どもと教育を考える会」を設立。「4カ年かけて行うのではなく、一刻も早い実現を」と訴える署名活動を展開し、昨年10月から約5カ月間で集めた3300余りの署名を2月下旬に市に提出した。
児童の心のケアを
背景には、新型コロナの影響で昨年市内の小学校が3月から約3カ月間臨時休校したことが挙げられる。授業の遅れや学校行事の中止など、児童たちは不安や我慢を強いられながら学校生活を続けてきたという。「コロナによる変則的な1年で児童たちは傷付いている。今年度、小3以上は担任1人に対し40人の心の動きを追うのは難しい。せめて上限が35人ならいくらか余裕が生まれる」と篠崎代表。現状、小1・2学年で少人数制を実施していることには理解を示すが、年単位で段階的に拡充していくため、今年度3年生の児童は中学卒業まで40人以下学級であることを懸念する。
教員の負担軽減も
また、教員の負担軽減も早期実現の必要理由のひとつだ。同会の高坂清美さん(元小学校教諭)は、現役時代から教員の業務過多を感じており、「一人ひとりの児童と向き合うため、40人学級から35人、ゆくゆくは中学校でも少人数制を導入してほしい。それが多くの教員の願い」と話す。
市教職員人事課によると、可及的に実施することによる市独自負担の人件費や人材確保の観点から、現状として早期実現は難しいという。同課担当者は「本市の財政上、一足飛びでの実現は厳しいが、着実に少人数学級が実現するよう努めていきたい」と話している。
全国的には、福岡県古賀市などが市内全小・中学の全学年で市費を利用しての原則35人以下学級を実施している。これを受け同会でも、引き続き早期実現を求める署名を集めていくという。