2021年の公示地価が発表され、市内の住宅地は、緑区は0・1%(昨年2・2%)、南区は0・0%(同1・4%)と上昇幅が大きく圧縮され、中央区では▲0・3%(同0・7%)と下落に転じた。市全体の平均変動率は▲0・1%(同1・4%)と下落した。
市内で藤原不動産鑑定を営む不動産鑑定士の藤原新一氏によると「橋本駅周辺では、利便性やリニア中央新幹線事業の進捗による発展的期待感から、これまで上昇傾向にあったが、昨年前半は新型コロナの影響による不動産取引市場の停滞から、コロナ禍以前の勢いには戻っていない。旧津久井郡は概ね、下落傾向が続いている」と分析した。また、地価の二極化が進展していく傾向を指摘し、「コロナ禍の不透明感から、路線による選別(小田急線・JR横浜線沿線の物件に対する需要は堅調だが、JR相模線は弱い)や、最寄駅による選別(相模大野駅・町田駅などのターミナル駅に対する人気は依然として高い)が進み、駅徒歩圏であるか否かなど、特に交通利便性が高い稀少性などを伴う地域について上昇がみられ、利便性などが劣る地域では下落基調」と説明した。
継続99地点のうち、上昇33地点(昨年比-29地点)、横ばい25地点(昨年比±0)、下落地点41地点(昨年比+28地点)。下落地点の上昇が顕著な結果となった。
将来の動向は、コロナ禍の見通しが不透明であることを見据え「今後、地価動向にどれほどの影響を与えるかは未知数だが、基本的にはネガティブインパクトになる。不動産の選別が厳しくなり、二極化が加速する。一方で、橋本駅周辺の発展的期待感の持続、伊勢丹跡地利用の決定など、ポジティブな要素もあり、今後の地価動向が注目される」と話した。