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花と対話「表情を見る」 相模原総合高校卒業生 鈴木美咲さん

文化

公開:2021年6月3日

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同展で入賞したことを受け、7月にいけばなの京都研修に参加する予定の鈴木さん。この日は即席で、身近な花材を生けてくれた
同展で入賞したことを受け、7月にいけばなの京都研修に参加する予定の鈴木さん。この日は即席で、身近な花材を生けてくれた

 相模原総合高校の卒業生で、中央区在住の鈴木美咲さん(18)。今年2月、3年間在籍した華道部の集大成として出瓶した「第23回学校華道インターネット花展」で、全国6千近い応募の中から関東ブロック賞を受賞した。県内唯一の入賞で、7月には同展を主催した(一財)池坊華道会から、京都への華道研修に招かれている。いけばなが盛んな地での研修に、鈴木さんは「多くのことが学べる貴重な機会。他の入賞者も参加するので、今から緊張する」と話している。

 鈴木さんが華道部に入ったのは相模原総合高校に入学して間もなく。いけばなの経験はなくとも、もともとの植物好きが入部を後押した。部員は自身を含め3人。週1回の活動では地域でいけばなを教える外部指導員の荒川久子さんに花鋏の使い方から教わった。

 いけばなにはいくつかの流派があるが、鈴木さんが習う「池坊(いけのぼう)」では、草花がもつ本来の美を見出すことを大切にする。そのためには、花材とじっくり向き合い、その「表情」を見る。どの位置や向きが一番美しく、その花の良さが光るかを探すのだ。最初はなかなかうまくいかなかった鈴木さんだったが、基本である「花材で三点(三角形)を作る」という教えを繰り返し実践。空間の見せ方やバランスの取り方がわかるようになると、次第に「正解のないおもしろさ」に引き込まれていった。

 年に1回の開催である同展は、池坊流派で学ぶ小学生から大学生までが腕前を競う。審査対象となる新作の写真提出が必須で、1年時の後半には、初めて出瓶した作品が入選の一歩手前である「ノミネート」に残るほどの腕前になった。

人の目に触れてこそ

 華道部顧問の落合百合子教諭は、鈴木さんが2年生になってからの着実な上達を振り返る。同部の練習作品は、校内の職員用玄関など数カ所に飾られる。鈴木さんと上級生、計2人になった華道部は、週に1回新しい作品を生け続けた。「専門的な技術はもとより、誰かに見てもらえることは励みや意欲につながる。年間通して数多くいけた経験がよかったのでは」と落合教諭は話す。

 部室には、部員たちの作品を写真付きでまとめた日誌がある。生けた花について「どんな意図で作ったか」「使った花材の感想」などを部員が自由に記し、それに荒川指導員が答える。いわば部員と荒川さんの「交換ノート」だ。鈴木さんが3年生になり、今回同展で賞を獲った作品も、そんな日々のやりとりの中で生まれた。

 使用した「石化エニシダ」は、曲がりくねった枝先が特徴的で、鈴木さんが好む「曲線」が映える枝物だ。さらに脇枝を丁寧に曲げ、カーネーションやデルフィニウム、ノバラを添え、「秋の月」をイメージ。これが最優秀賞、優秀賞に次ぐ、全国を7エリアに分類した「関東ブロック賞」に選ばれた。

 一報を受け、「後輩がいる手前、ノミネートに残ればいいなと思っていたけど、まさか賞が獲れるとは」と驚いた鈴木さん。3年間、作品を見てきた荒川指導員も喜び、「花の『顔』をよく見ており、それぞれのいいところを引き出すのが上手」と鈴木さんの花への向き合い方を評価する。

発祥の地で学ぶ

 例年同展の入賞者は、7月に京都で開かれる華道研修に招待される。研修まで後1カ月。新型コロナウイルスの感染状況によるが、いけばな発祥の地と言われる紫雲山頂法寺(六角堂)でのフィールドワークや、入賞者同士でのグループ制作などが行われる予定だ。

 「花に関する仕事に就きたい」と、4月から藤沢にある専門学校に通う鈴木さん。研修で多くのことを学び、さらに感性に磨きがかかるだろう。

鈴木さんが荒川指導員と交わした日誌(写真は同展で関東ブロック賞を受賞した作品「良夜」)。
鈴木さんが荒川指導員と交わした日誌(写真は同展で関東ブロック賞を受賞した作品「良夜」)。

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