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夢の将来に責任の舵取り 本村市長 市政を語る

政治

公開:2022年1月1日

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今年の相模原市政の展望を熱く語る本村市長
今年の相模原市政の展望を熱く語る本村市長

 2022年の年頭を飾る企画として、本紙では本村賢太郎市長に、新春インタビューを行った。本村市長は相模原市の未来に対する構想や考え方などについて率直に語った。(聞き手/さがみはら緑区編集長・木村正博)

 ――早速ですが、昨年(2021年)を振り返っての感想をお聞かせ下さい。

 新型コロナウイルス感染症対策に追われ、全職員が一丸となって、72万人の市民の皆さまに寄り添いながら、対応させていただいた1年でした。感染拡大を防止するため積極的にPCR検査や疫学調査を実施してきたほか、人流を抑制するため市主催のイベントの中止や、小中学校の臨時休業、公共施設の休止などの対応をしてきました。また、ワクチン接種を進めてきまして、11月末時点で対象者の80%以上の方に2回目の接種をしていただくことができました。

 そのような中でも、総合計画基本構想に掲げた将来像「潤いと活力に満ち 笑顔と希望があふれるまち さがみはら」の実現に向け、着実に取組を進めてきました。まず1つ目は、4月に行財政構造改革プランを策定しました。2020年10月の段階で、将来的に816億円の歳出超過となり、中長期的な財源の裏付けなど、見通しがない事業を多く抱えていました。市の財政は大変厳しく、このままの行財政運営では、持続可能な都市経営はおろか、真に必要な行政サービスの提供も難しくなる可能性がありました。特に大型事業では、実現から遠ざかっている状況のものが数多くあり、一番順調にいっていると思われる橋本駅周辺の街づくりでも、ようやく大規模事業計画の手続きに入れた現実があります。少子高齢化時代の中で、公共施設の適正配置が重要となります。小中学校の集約や義務教育学校の設立など、10年20年先の相模原を作っていくには、行財政構造改革を進めていく必要があります。こうした話題は、暗い話と思われがちですが、将来の教育や子育てのために必要な予算を確保するためには、どうしても必要な措置です。改革の実施にあたっては、市民の理解・協力が不可欠なことから、プランの内容を分かりやすく漫画で表現したパンフレットを作成するとともに説明会を実施しました。

 2つ目は、4月に全国に先駆けてシビックプライド条例を施行しました。これは、18年の民間の広告会社が実施するシビックプライド調査において、本市の総合ランキングが、151自治体中、149位だったことに対し、危機感を持ったのがきっかけでした。「自らがまちづくりに参加する」という意識を持つことが非常に大切で、72万人市民の皆様がシティセールスをしていただければ、これほど心強いものはないと思っています。将来的には「子育てするなら相模原」「移住・定住するなら相模原」となれるよう、情報発信に力を入れていきたいと思っています。

 3つ目はSDGsです。令和2年7月にSDGs未来都市に選定いただきました。全国自治体初の本市オリジナルのSDGsカードゲームを活用した出前講座を、小中学校中心に展開し、理解促進につなげることができました。ホームページというと、かたいものになりがちですが、漫画の主人公を入れた「SDGs one by one」という特設サイトで最新情報を発信し、閲覧者数は月間30万ページビューを超える月もあります。また、市とともにSDGsの達成に向けて取り組む「さがみはらSDGsパートナー」については、500を超える企業や団体に登録いただき、具体的な連携事業も生まれています。SDGsアワードも相模原・津久井JC協力のもと開催し、一生懸命取り組んでいる団体・企業の中から、田名小PTAが最高賞を受賞しました。市役所ロビーへのフードロス対策自動販売機の設置、食料を積んでいる車両が事故を起こした場合、廃棄していた食料を、本市のひとり親家庭や学生などに無償で提供する協定締結などの取組も行ったところです。

 4つ目は「はやぶさ2」関連の公開です。市立博物館において、3月にはカプセルやパラシュートを世界で初公開し、12月にはリュウグウのサンプル公開をしました。「はやぶさの故郷」であり、「宇宙を感じるまちさがみはら」として、相模原をもっと打ち出していきたいですし、将来的にはさがみはらの子どもたちが、宇宙飛行士を目指してみたいといった夢を持ち、科学にも強いまちになればよいと思っています。JAXAが相模原に来ての32年間を誇りに思っていますし、産学官で連携して、いろいろな取組を行っていきたいと思っています。

 最後は、一年間延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関連した取組です。柔道・水泳、パラ競技にいたるまで、多くの競技で相模原ゆかりの人が活躍していただきました。ブラジル・カナダの事前キャンプのホストタウンにもなりました。本来、もっと多くの交流を深められれば良かったのですが、できる範囲でこどもたちにレガシーを残せたのは良かったと思います。このオリンピックの様子を映像に残したものも制作しました。また、大会選手村の「ビレッジプラザ」で使った津久井産材が戻ってきましたので、3区の区役所の長椅子として、次世代のレガシーとして残していきたいと思っています。

ワクワクする市政を推進本村市長インタビュー

 そして、自転車ロードレース競技の舞台となったことをきっかけに、世界一流の選手が出場する「ツアー・オブ・ジャパン」の誘致にも成功しましたので、競技を堪能していただければと思います。

 ――今年もまず、新型コロナ対応が欠かせないと思います。

 新規感染者数は減少し、市民生活や経済活動が活気を取り戻しつつありますが気を緩めず、引き続き、感染拡大の防止に向けて、対策を徹底する必要があります。病床の確保も一つの課題ですが、自宅療養者の支援体制の確保にも努めます。食料などの必要な物資は県が届けるのですが、2日から3日かかるケースがありましたので、相模原市がすぐに届ける準備も行っています。さらに、神奈川モデル相模原版の一つとして、医師会の方がオンライン診療を実施したり、ご自宅を訪れ酸素投与をするなど、自宅療養者の方に寄り添った対応をさらに強化していきたいと思っています。また、3回目のワクチン接種を進めるにあたっては、高齢者の予約が混乱した経緯もありますので、負担を軽減できるよう、集団接種の場合は、市の方から日時と場所を決定する「指定方式」を導入し、希望の有無を伺う調査を行い、約5割の希望がありました。2月からの接種に向けて最終的な調整を行っているところです。

 経済対策は非常に重要です。昨年は本市独自のキャッシュバックキャンペーンを行ってまいりました。事業者には感染症対策としての改修などへの支援や、商店街や宿泊施設の利用を促進してきました。改修などを応援する補助金などは非常に人気が高く、多くの皆さまにご利用いただきました。国からの交付金を活用する部分もありますが、これからも、市独自の対策をしていかなければならないと思っています。アフターコロナ対策は、職員、市民みんなで考え、新しく良いものは、他の自治体のものでも、どんどん取り入れて実施するべきだと思っています。

 ――これまで市長は熱心にSDGsに取り組んできました。

 今年は新しい事業として、豊かな自然を有する本市をフィールドとして、見学や体験などを通じてSDGsについて学べる「さがみはらSDGsスタディーツアー」を企画する予定です。企業研修や学校の課外学習の場となることで、市内外からの誘客も見込めます。SDGsというと何をしたら良いのかと思いがちですが、「誰一人取り残さない持続可能な社会」を実現するという理念や目標を踏まえ、ゴミの分別を含め、実際に行動をしていただくことが大切で、市民の一人ひとりに「行動宣言」をしていただき、特設サイトに掲載することも企画しています。また、SDGsに取組んでいる自治体はたくさんありますので、他市との連携も深めていきたいと思っています。例えば、高尾山の観光客を陣馬山や峯の薬師などに誘導するなど、環境に配慮した新しい登山ルートなどを開拓できればと思っています。

 ――残り任期1年で特にやりたいことはなんですか。

 耳に痛い話でも、現実を市民に伝えることがとても大切だと思っています。大規模事業もできるもの、できないものの取捨選択が必要になってきます。できなかった事業は、なぜできなかったのかを丁寧に市民に説明しなければなりません。市民との対話が最も大切だと思っています。例えば小田急多摩線の延伸の話なども一つの例です。上溝までの延伸を望まれている市民も多いでしょうが、相模原駅までの延伸も厳しいのが現実です。ただ、あきらめるのではなく、相模総合補給廠一部返還地の整備などを進め、小田急線が延伸したくなるようなまちづくりを進めることが大切です。10年先、20年先に評価されるような市政運営をしていきたいと思っています。そのためには、人材育成がとても大切です。若手の職員研修にはなるべく顔を出すようにしています。短い時間ですが、お話しさせていただき、「どんな相模原をつくっていきたいのか」を聞いています。私が市長としていなくなった後、相模原を引っ張って行くのはそうした若手の職員です。お金と時間をかけてでも約8000人の職員が誇りをもって仕事ができる環境づくりが大切だと思っています。

 ――市民の皆様へのメッセージをお願いします。

 まず、72万人の市民の皆様がワクワクするまちづくりを展開していきたいと思っていますので、市政にご理解とご支援を頂きたいと思っています。新型コロナウイルスに対しては、第6波の対策も重要となります。3回目のワクチン接種や、5歳から11歳の接種、交互接種なども始まりますので、市民の声を反映した形での接種を進めていきます。最後に、常に思っているのは、生まれた家庭環境で教育格差がないようにしていきたいと思っています。中学校での給食の全員喫食への加速、4月からは政令市と神奈川県がタッグを組んだ全国的にも初の試みとなる「夜間中学校」も開始されます。義務教育過程を受けられなかった人や、外国籍の方など広域的に受け入れていきます。子ども・若者未来基金も活用しながら、困っている方にしっかりと手が届くような市政を心がけていきたいと思いますので、今年もよろしくお願いいたします。

真剣な眼差しで本紙の取材に答える本村市長
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