神奈川県は5月24日、消防団員として長年にわたり活躍し、特に消防団長などを務めた功労者に感謝状を贈呈。区内からは山本吉洋さん(58)、小山孝雄さん(62)、山口国佳さん(62)の3人が感謝状を受け取った。
消防団に入団して25年、津久井方面隊長を4年間務めた山口さんは、「これまでやってきたことが認められてとても嬉しい」と微笑む。神奈川つくい農業協同組合の職員として働きながら、消防団員として地域のために尽力してきた。
山口さんが入団したのは25歳の頃。父、兄も入団していたため子どもの頃から消防団が身近な存在だった。「周りに倣ってそのまま自分も入るんだろうとどこかで思っていた」と懐かしむ。活動などに携わっていくうちに、より命の大切さや災害の恐ろしさについて深く考えることが増え、活動への熱意も大きくなっていった。
一番印象に残っている出来事は2019年の台風19号。「今までに経験が無かった規模の災害」と振り返る。山口さんは方面隊長として救助作業の指揮を執った。家に帰れない日々も続いたという。「捜索している団員の身の安全を確保すること、二次災害が起きないように心がけていた」と話す。救助活動を通して「被害に遭った家族の心境を考えると胸が痛かった。改めて災害の恐ろしさを知った」と語る。
今年3月に方面隊長を退き、今後は後進の育成に励むつもりという。「災害はいつ起こるかわからない。長年培ってきた経験をもとに、地域の人に防災について啓発していきたい。そして次の世代にも繋げていくことが出来たら」と山口さんは言葉に力を込めた。