戦争の悲惨さ、原爆の恐ろしさを日本各地で講演している森政忠雄さん(88)による平和講演会が相原小学校の体育館でこのほど行われ、6年の児童と地域住民ら120人が参加した。
ウクライナ情勢など、世界が平和の危機に直面する中で、平和について考えてほしいと同校と相原公民館が開催。大きな拍手のなか、森政さんが登場すると講演がスタート。それまで積極的に被爆体験を語ってこなかった森政さんだが、孫に夏休みの自由研究で原爆について教えてほしいと言われ、「孫の頼みは断れなかった」ときっかけを話す。「孫が自由研究でみんなに伝えようとしているのに、私が伝えないのはおかしいのでは」と思い、語り部を始めた。
当初は戦争の悲惨さ、平和と命の尊さ、地球から原爆を無くすことを伝えた。しかし、「尊い命を奪ったアメリカが人間として絶対に許せなかった」と一方的に非難する内容だったという。子どもたちから「なんで戦争が起きたの」などの質問を受けたことで、「私の話は恨みと憎しみを伝えているだけで、話が偏りすぎていた。正しく伝えるためには戦争の歴史を知り、公平に語らなくてはならない」と気付いたという。
光った瞬間キノコ雲
そして、自身が12歳の時に広島で被爆した話に。爆心地から約3・7キロ離れた場所で被爆した森政さん。原爆が落とされた8月6日は登校日で、学校の渡り廊下で友達と話をしていた。ピカッと光った瞬間にキノコ雲が見えて、防空壕に一目散に逃げたという。天地を揺るがす衝撃とガラスの破片で負傷したこと、被爆した人が水を求め彷徨っていた話など、悲惨な話に児童は真剣に耳を傾けていた。
森政さんは「戦争のない世界、平和な世界を」と呼びかけると、「人を憎まず、戦争を憎みましょう。過ちは絶対に繰り返さないで」と子どもたちに念を押した。
児童からは「戦争をしないために私たちにできることは何ですか」と質問があがった。森政さんは「隣の人のことを理解してあげて下さい。そしてその輪を広げていって」と答えた。「国でも同じ。理解し合って違う者同士が力を合わせて生きていく。それを粘り強くやること」と話した。
講演を終え、松信幸太君は「原爆や戦争が悲惨だということを次の世代にも伝えていけたら」と感想を話した。
なお、森政さんの活動を描いた書籍「聞かせて、おじいちゃん〜原爆の語り部・森政忠雄さんの決意」(国土社/横田明子さん著)は全国学校図書館協議会が選ぶ夏休みの本に選ばれている。
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