津久井商工会(関戸昌邦会長)で新しい委員会が立ち上がり、活動が積極化している。設置されたのは「津久井ポトマック河畔構想委員会」と「リニア委員会」。それまでは次世代まちづくり構想委員会で取り組んできた事業だったが、満を持して委員会化した。
関戸会長は「津久井には35年前から水源文化都市構想があり、大きなポテンシャルがある。特徴ある都市構想がいよいよ見えてきている。ここで事業を具体的に進めるために委員会にした。より明確に事業を進めていく」と思いを話す。
桜でまちづくり
「水源文化都市構想を実現させるため、まずは『桜』でまちづくりを進めたい」と話すのはポトマック委員会の渡邉博明委員長。津久井と桜には大きなゆかりがある。津久井出身で東京市長を務めた「憲政の神様」こと尾崎咢堂(行雄)が日米友好のために1912年、3千本の桜をワシントンに寄贈した。現地は毎年春に桜祭りが行われるほどの桜の名所になっているという。渡邉委員長は、「各機関と協力してこの桜を使って津久井のまちづくりを考えたい。イベントを開催し、桜の名所にできたら」と思い描く。
さらに、桜のような広葉樹を植樹することは自然災害の対策にもなる。「根が低くて弱い針葉樹ばかりが植えられた山では災害が多く発生する。広葉樹にすることで災害対策になるし、スギ花粉の減少にもなる」と幅広い効果に期待する。
目指すは旅客線化
一方のリニア委員会の高城善久委員長は「リニア中央新幹線の車両基地回送線の旅客線化の実現を働きかけていく」と意気込む。鳥屋にできる車両基地は建設が進んでおり、ここを通る車両を客を乗せる旅客線にできるかが「地域発展の大きな鍵となる」と続ける。
しかし、旅客線化の要望に対して、「JRはないと回答している」という。これについて関戸会長は「最初は話すら聞いてもらえなかったが、今では要望に回答するなど状況は良くなっている。できない理由が物理的な話で、不可能ではなくなってきている」と前を見つめる。「ただの車両基地なら地域として大きな損失しかない。いかにメリットにできるか」。そのために署名活動のほか、関係各所との交渉、周辺地域を巻き込み旅客線化を訴えていく。
モデルケースに
2つの委員会に関わる網野通次世代水源文化都市担当理事は「市と進めている空飛ぶ車(ドローン)とリニアがポトマック構想へとつながり、ビジネス、インバウンド、観光の3つが融合した地域になる。津久井を世界の中山間地域のモデルケースにできれば」と展望を述べる。
そして、関戸会長はこれらの事業を進めていくことが、中山間地域の課題の解決につながると信じる。「将来の人口推計を見ると、このままでは津久井地域は無くなる。人口減少、交通不便、自然災害、鳥獣被害など問題は山積み。観光を経済の1つに捉えることで、観光客が訪れ、産業・雇用が生まれ、人が増える。この地域を都市化しようという計画ではない。今ある山や水を生かして津久井を次世代でも持続可能な地域にしていきたい」
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