小惑星リュウグウに到着した探査機「はやぶさ2」のイオンエンジン開発に携わる 細田 聡史さん 中央区淵野辺在住 45歳
技術尽くし宇宙に挑む
○…「喜び半分。安堵半分。何カ月も日の丸を背負った気分だった」。それが「はやぶさ2」がリュウグウに到着したときの素直な気持ちだ。何年もかけ改良したイオンエンジンに「はやぶさ2」の命運が懸かっていた。改良の段階で幾多の失敗を乗り越え万全の状態で送り出したが、成功しなければ相模原を出るぐらいの覚悟が必要だった。
○…高校生の頃、アニメで見たロケットに釘付けになり、銀河系の中心にまで届くロケット開発に人生を捧げる決意をした。卒業後は東海大学航空宇宙学科に進学。1年生で訪れたJAXAの特別公開でイオンエンジンに出合う。「まさに作りたかったもの」。そこで火が付き勉強漬けの毎日を送った。4年生では単身JAXAへ。一流のスタッフたちの中で研究に明け暮れた。その後九州での就職を経て2006年にJAXAへ入職。以来、宇宙の解明にはイオンエンジンが必須だと信じ、可能性を追い続けている。
○…忙しい日々を癒すのは2人の子どもとの時間。特に子どもたちが早起きして作ってくれた弁当は忘れられない。いつもの卵焼きが格別のごちそうになった。仲間と飲むお酒も息抜きのひとつ。淵野辺駅前の商店街がお気に入りで、研究仲間と訪れては宇宙への熱い気持ちを語り合っている。
○…喜びもつかの間、現在もイオンエンジンの開発は継続中。性能を上げようとすると新たな課題も出るが、根気強く進化をめざす。自身の経験を踏まえ、子どもたちには「やりたいことには挑戦すること。たくさん失敗し、成長してほしい」と未来への期待を込めてエールを送る。無事到着した「はやぶさ2」だが、最後には帰還するという任務も残り、それにもまたイオンエンジンが要となる。宇宙への挑戦に終わりはない。
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