教員の長時間勤務が全国的に問題となる中、市教育委員会(市教委)は来年度から部活動の大会や試合の引率を単独で行える「部活動指導員」(以下指導員)の配置を市内の一部中学校で開始する。部活動は平日だけでなく土日も多くの時間を割くこともあり、市教委では指導員の配置による教員の負担軽減に期待を寄せる。ただ、現場では効果は限定的とし、長時間勤務の改善には教員の増員など抜本的な改革が必要との声も上がっている。
市内のみならず一般に、教員の長時間勤務は深刻な状況にある。
文部科学省が2016年から17年の教員の勤務実態をまとめた「教員勤務実態調査」によると、「過労死ライン」に相当する週の勤務時間が60時間を超える教員の割合は小学校で33・5%、中学校で57・6%に上る。
総務省統計局省がまとめた17年平均の「労働力調査」では、全産業雇用者の中で週60時間以上勤務する割合が7・7%だったことと比較すると、その数値は際立って高いことがわかる。
市教委では、こうした教員の長時間勤務を改善すべく、昨年3月に「学校現場における業務改善に向けた取組方針」を策定。教員が本来の業務に専念できる学校環境の整備を目標に、昨年4月から部活動の休養日の設定、事務作業を補助する「スクール・サポート・スタッフ」を市内12の小中学校に配置するなど、改革を進めてきた。
昨年8月に行った教員対象のアンケートでは、それぞれの取り組みで一定の成果がうかがえる結果となったが、市教委では取り組みの拡充が必要と判断。中でも、平日朝夕、休日も指導に時間を割く部活動の負担軽減を目的に、来年度から一部中学校で指導員の配置を決定した。
単独で引率も
指導員は国が17年4月施行した改正学校教育法施行規則に位置付けられ、市が非常勤公務員として雇用し、単独で部活動の顧問となれることが特徴。これまでも外部指導者が部活動を支援する仕組みはあったが、あくまで顧問は教員だった。今回の決定で、指導員は担当教員と連携を取りながら顧問を務め、土日に行われる大会への引率も単独で可能となるため、市教委では教員の勤務時間短縮に効果的と見ている。
指導員は元教員などを想定しており、市教委は来年度に配置される学校数については「募集状況などを見て判断する」としている。
指導員の配置に加え、市教委では「スクール・サポート・スタッフ」の拡充や既に市内全中学校に導入されている校務支援システムを全小学校へ導入するなど、長時間勤務の改善へ多角的な取り組みを進めていく。
抜本的改革求める声も
指導員の設置などについて、市内の中学校に勤務する男性教員は「教員が競技経験のない部活の顧問をしていることも多く、負担に感じる教員もいるので、ある程度効果はあると思う」と話す。
その一方で、「一番の原因は担当授業数が多く、準備や生徒の対応に時間が取れないこと。中には一日中、休みなく授業を持っている場合もあり、自宅に仕事を持ち帰る教員も多い」としたうえで、「教員を増やすなど対策を取らなければ、抜本的な改善にはつながらない」といった問題点も指摘している。
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