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町田版 公開:2011年7月7日 エリアトップへ

「将来が見通せず、繋がろうという気になれない」 福島・避難地域からの被災者インタビュー

社会

公開:2011年7月7日

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子どもたちと遊ぶ避難者のみなさん(7/1撮影)
子どもたちと遊ぶ避難者のみなさん(7/1撮影)

 今回、取材に応じていただいたのは5人のお子さんを持つAさん、おばあちゃんと娘さんと避難してきたBさん、娘さんとご主人3人のCさんの3世帯。AさんとCさんは姉妹、Bさんは友だちの関係。一緒に町田市に避難した。

 震災で3世帯とも海から離れ津波の被害は受けなかったが、地震で家具などが倒れ、住める状態ではなかった。

『福島、新潟、転々と…』

 ―町田市に来られた経緯を教えてください

 (Aさん)地震が起こった直後、着の身着のままで逃げて、おじいさんのところに一時的に逃げました。次の日の朝、どこに行こう?行き場所がない、ガソリンもない…と。そのうちに福島原発第一号機が爆発して、急いで避難しました。郡山や猪苗代、新潟など転々としましたが、4月2日に町田に来ました

 (Cさん)「当初、別々に避難していましたが、浪江町では家族、親せき、友だち同士みんな近くにいて、みんなで生活しているような暮らしでした。知り合いと離れ離れになって避難していると娘の体調が悪くなり、みんなと一緒に避難した方が良いと考え、町田には一緒に避難してきました。3世帯とも町田とはゆかりがなく、すぐに入居できる場所が町田市だった」

 ―現在の生活はどうですか

 (Bさん)「土地勘もなく、どこに何があるかも分からない。子どもたちが遊べる場所も分からないし、近くに何があるのかも知らない。外出するといったら、近くのショッピングセンターくらい」

 (Aさん)「小学生は学校に行っているが、未就学児の3人は幼稚園にも行っていない。いつまでここにいるのかも分からないし、幼稚園に通うにはお金もかかる。幼稚園に通わせたとしても、保育園に預けたい1歳の娘が定員いっぱいのため預けられないので自分が働くこともできない。ただ、子どもたちは幼稚園に通いたがっている」

『とにかくお金がかかる』

 ―生活費はどうなっていますか

 (Cさん)「とにかくお金がかかります。結婚当初よりもかかったぐらい。なんせ、電化製品、食器、衣類などすべて一から揃えなければいけなかったから。いつ、次の場所に移動するか分からないので大きな買い物はしませんが、生活必需品を一から揃えると大変。東京電力から仮払い金として100万円もらったが、すぐに無くなり、貯金を切り崩している状態です」

 ―子どもたちの生活はどうですか

 (Aさん)「転校した当初は嫌なことを言う児童もいたが、先生方や同級生たちがよくしてくれるので、今では『他の学校に移りたくない』と言っている。友だちもでき、楽しい学校生活をしている。ただ、小学校前の子どもたちは友だちが欲しくてしょうがない」

 (Cさん)「浪江町が避難区域に指定された時、娘が今の担任の先生との連絡帳の中で、『帰ることができなくなった。さみしい』と記していたことにはビックリした。普段はあまり気にしていない様子だったが、心の中で深く考えていたんだなと思った」

 ―今求めるものは何ですか

(Aさん)「将来のことが決まることと補償(お金)です。落ち着いて住める場所が早く欲しい。そういうことが決まらないと何もできない。また、いつちゃんとした補償がなされるか知りたい。将来も不安定、お金も不安定だから日々の生活のことでいっぱいになってしまう」

 (Bさん)「今はパソコンがないので、情報を得て確認するには電話するしかない。浪江町の役所などに様ざまな申請、問合せをすると電話料金がとてもかさむ。テレビだけの情報では細かく分からないし、ほかの情報でも『詳しくはホームページで』となっているので、電話して確認するほかない」

『繋がりは

まだ先の話』

 ―市内では避難されてきている方々と繋がりを持ちたいと声をあげている人たちがいます。どのように感じますか

 (Aさん)「そうですね…。ここ(住宅)の期限が9月末で切れますので、この先のことなどを考えると市内の方に何をして欲しいかなど、まだ正直分かりません。一定の期間住める家も決まり、子どもたちに多くの友だちができるなど生活が落ち着いたら、自分の住む地域として考えていけるのですが、今はまだ何も考えられないというのが正直なところです」

 (Cさん)「町田市にこんなところがあるなどの情報は欲しいですが、繋がりとなると、いつまでいるのか、これからどうなるかといった不安の方が大きく、地域と繋がろうとは思えないです」

 ―今後どのようなことを考えていらっしゃいますか

 (Cさん)「福島には近い将来、戻れるとは思っていません。ただ、浪江町では家族、親戚、知り合いが集まって暮らしていました。同じとは言いませんが、また子どもたちが元気に生活していけるよう、もともとの生活に近い状態、つまり、田舎っぽい街並みが感じられる場所で生活できたらと思っています」

-ありがとうございました
 

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