震災から 半年 今なお続く、放射能汚染と向き合う 保護者の心配震災時と変わらず
福島第一原発の事故で拡散した放射能物質は、町田市でも観測されている。和光鶴川幼稚園、和光鶴川小学校では毎朝、敷地内の放射線量などを計測している。保護者からは「毎日測っている」という安心感もあるそうだが、保護者の心配は事故当初から変わっていないという。和光鶴川幼稚園園長で和光鶴川小学校校長も務める園田洋一氏に事故から約半年経った現在の状況などを聞いた。
4月の初旬から園庭・園舎、砂場、水道水、校庭・校舎、敷地内の雑木林を毎朝、放射線量を計測しています。町田のこの地でも福島第一原発事故の影響があり、どういう状況なのか自分自身で知りたいという思いから測定を始めました。私自身、化学分野の出身で、子どもたちにも事故以前から放射能のことについて授業をしてきましたし、また園児、児童のためもそうですが、まだまだ子どもを産み育てる若い保護者の方のために測り始めました。
放射線量の数値を把握するのも大事ですが、毎日測ることで分かる数値の変化を大事にしています。変化があれば何が要因になったかが分かるからです。
震災当時は、政府などから正確な情報が得られず、保護者の方も、どういう情報が必要なのか分からない状況で、どうしていいか心配していました。保護者の方からは要望というより心配の声が多かったです。また敷地内の土壌や植物などの検体検査も行ないました。その検査では、検出限界以下の不検出という結果になり安心しています。
子どもたちも不安
保護者の方がとるべき行動は、情報を正確に得ることだと思います。根拠のある判断のもとに行動することが大事。ただ、先ほども言ったように正確な情報が政府や自治体から発信されず、保護者の方は漠然とした不安を持っていましたし、今でも持っています。政府には野外活動やプール、食事など様ざまな分野で早く基準をつくることをして欲しい。だから色々な情報が入り乱れて余計に不安を掻き立ててしまう結果になってしまっている。今でも不安を持っている保護者の方は多くいます。多くの情報が飛び交い、保護者の方も放射能のことを学んだ今でも震災後の4、5月と保護者方の心配は変わっていないです。不安を少しでも解消するために放射線量を測る場所を細かく設定して、情報を広く開示してほしい。
当校では独自に放射線量の基準を設け、それを超えた場合は学校医と相談して、野外活動はしない、時間を短縮するなどといった対応をします。ただ、その基準を今まで超えたことはありません。
一番心配に感じているのは子どもたちかもしれない。普段はこれまで通り笑顔で遊んでいるが、放射能のことについて聞くときの真剣さは、これまでにないと思います。表面には表さないが、放射能だけでなく、震災のことは心の中に大きく残っているのでしょう。これからも忘れずにいて欲しい。今後も測定、検体検査も継続し、安心して学べる場所にしていきたい。今回の原発事故をきっかけに、子どもたちが放射能の問題を考えるきっかけになればと思います。また、自分たちで生活することを主体的に考えてほしいです。言いなりではなく、自分たちで考えて行動することを学んでほしい。時間が経つと忘れてしまいがちですが、当校では、小学校高学年と幼稚園の保護者らを対象にした放射能についての勉強会を9月下旬に予定しています。
今後も敷地内の測定、土壌などの各種検体検査は継続して行なっていきます。
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