第43回日展(2011)で特選を受賞した 中村 三喜雄さん 図師町在住 64歳
次の作品へ日々邁進
○…黄金に輝く何とも言えない色合いや叩いたときに見せる素材の緊張感-。銅を7、亜鉛を3の割合で混ぜ合わせた「真ちゅう」に魅せられて30年以上、このたび「日展」で特選を受賞した。作品「想生(=そうせい)」は、植物の種や実が、成長していくエネルギーを表現。発表前日に受賞者への連絡を受けた際は、思いがけないサプライズに夫婦で喜びを分かち合った。
○…小さい頃から絵を描くことが好きな少年だった。中学・高校と絵の教室にも通い、本格的に美術を習える大学へ。2人の恩師との出会いからオブジェ制作の魅力や、真ちゅうの素晴らしさを教わり、以後30年に続く美術教師生活の中でも出展作品制作を続けた。学生とは学校で使うベンチや窓の飾りなどを共に制作、身近なものを”作る”楽しさを伝えてきた。5年ほど前に退職した後も、出展作品制作を続けてきた。
○…楽しいですか?とよく聞かれるが、制作過程は「とにかく苦しい」。期限や材料が限られている中で、思うように出来ない、体力もキツイと難所を迎える。葛藤や理想とのギャップを抱えながらも、その都度最高のものをと完成へ進む。出来たときの喜びはひとしおで、「では次はどうしようか」とその繰り返しだ。「受賞したものも、今回が特別という訳ではなくたまたま評価されただけ。受賞はもちろん嬉しいですが、それが終わりでなく、次の作品へのステップですね」
○…大学時代に出会った奥さんは、クラフトジュエリー作家。自宅にはそれぞれの作業場を持ち互いに制作に励み、先日は夫婦揃って地元成瀬で工房展も開催した。「仕事後や休みも作品制作に時間を費やしていた私を支えてくれた、良き理解者です」。春・秋の出展に加え、来年7月には可喜庵で個展も開催する準備に忙しい。「私なんてこの世界ではまだまだヒヨッコ。体力・気力が続く限り、制作し続けたい」
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