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町田版 公開:2012年1月1日 エリアトップへ

環境を考える特集 町田で再エネ使ってみよう できることから始め、ワクワクする未来が待っている

社会

公開:2012年1月1日

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藤井石根教授
藤井石根教授

 福島第一原発事故後、太陽光や太陽熱、風力、地熱など再生可能エネルギーが注目されている。では町田市で何ができるのか。専門家や家を建てる立場の企業、工夫を重ねながら実際に太陽光発電をしている家庭に話を聞いた。

まずは太陽熱を使おう

 「町田市には風力で電気を賄える場所はないし、小中規模水力発電も適した場所が少ない。一番良いのが太陽光を利用すること」と熱工学博士の藤井石根氏(明治大学名誉教授)。

 「ただし、太陽光と聞くと多くの人が太陽光発電を思い浮かべるが、太陽熱の利用なら誰でも出来ます」

 太陽熱利用とは、人が古くから利用してきた再生可能エネルギーだ。日向ぼっこもまさに太陽熱利用と言える。まさに太陽光の暖かい恵みで給湯や暖房などに利用でき、日本の風土に合った再生可能エネルギー。

 「太陽熱の利用は、創エネルギーではなく”省エネ”と考えてみては」

 例えば、南向きのベランダにビニールを使って温室を作ってみる。そこには太陽の光を受けた暖かい空気が集まり、その空気を寒い部屋に移す。これが太陽熱を使った簡単な省エネ。

 「最初に作るのは手間かもしれないが、中に花を置けば本当に温室になって楽しいですよね。溜まった暖かい空気を移すには管を通して、ファンを使う。そのファンの原動力を太陽光発電にすれば、再エネだけの暖房機ができる。このファンを動かすだけなら、手のひらくらいのパネルで十分。これなら、日常を不自由にしなくても簡単に省エネできます」

 家庭のエネルギー消費割合は暖房と給湯で50%強。「暖かいものは暖かく使う」。これが一番だそうだ。

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楠さん宅の太陽光パネル

工夫を凝らして再エネ利用

 町田市能ヶ谷に電気、ガス、上下水道、石油の光熱費全てを月1万円以内で生活しているご家庭がある。楠和彦さん宅の屋根には、多結晶シリコン型の太陽光発電パネル28枚と温水器300リットルが設置されている。

 太陽光パネル28枚のうち26枚を東電と連携させて、売電を行い、それ以外に様ざまな工夫を凝らして、エネルギー使用を控えている。

 「省エネ生活でも、お風呂の水は毎日変えるし、不便ではないですよ」

 家族は隣接する2世帯だが、お孫さんが2人いて多くの時間を楠さん宅で過ごす。一年の月当たりの平均光熱費は9378円。暖房などに使う石油代が冬季に一万円前後になるが、4〜6月の売電額が5〜8千円と高くなるため、年平均が抑えられている。

 省エネの秘訣は、”工夫”と”統計”。お風呂の水を簡単に洗濯機に組み上げる装置や、夏の暑い空気を屋根裏から逃がし、冬は室内に取り込む装置など自らの手で作っている。そして、細かく調べたエネルギー効率。石油ヒーターとエアコンの消費効率などもしっかりとデータを取っている。

 「太陽光発電は、儲かるシステムではないが、次世代のためには大きな財産になる。数百万円の投資をそのまま、子どもたちに引き継げられる。上手にシステムを利用すれば、生活の質は向上するはずです」

家の未来はすぐそこに

「車が電気で走ると30年前、誰が思いましたか。それが今、現実となっている。生活の中でも多機能な省エネ家電が増え、とても便利になった。それに比べ、”家”の機能は昔と変わっていない。それでいいのだろうか」

 1978年創業の三和住建(本社=町田市忠生)の志水哲也代表取締役は話す。同社は本社屋上にも太陽光発電を取り付け、再生可能エネルギーに積極的に取り組んでいる。

 スマートタウン構想は藤沢市で2013年に1000世帯規模が誕生するほか、千葉ではすでに行われ、デジタル機器による省エネ、コスト削減を実現するスマートグリットは、すぐ目の前まで来ている。また国交省もすでに低炭素社会に向けた住宅開発に取り組み、環境先進国のドイツでは、更にその先を行く。

 エネルギーの未来はすぐそこまできているのだ。

 「でも、そのエネルギーを『どう効率よく使うか』が家に求められている」

 同社では新たに、エネルギー効率を計測するための実験する家を建築する。どの時間にどの窓を開けると家の中が快適になるか、どのように空調を使うと効率的かなど様ざまな項目を計測する。そのデータをもとに2020年には”ゼロエネルギーの家”を目指す。

 「家づくりの最先端と技術の最先端を融合したい。現場も研究者もみんなロマンチストなんです。そのロマンが未来の家の姿につながるはず」
 

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