町田山崎団地自治会の会長を務める 吉岡栄一郎さん 山崎町在住 75歳
人と人の絆を広げたい
○…「助け合い、労り合い、楽しみ合い、毎日気持ちよく過ごそう」と、子育て世帯から高齢者までが気軽に立ち寄ることのできるスペースの管理・運営を自治会長としてまとめる。自治会には25年前、不況のあおりで仕事にゆとりができたのを機に参加。当時の役員たちが頑張って盛り立てている姿に「何か手伝いをしたくなった。それからずっと続けちゃってる」と笑う。7年前に会長に。以来、町田が誇る巨大団地で「人と人をつなぐ」役割を担っている。「絆を深め、安心・安全な”終のすみか”としての暮らしを、ここに住む人たちと共有したい」
○…5人兄弟の長男として世田谷に生まれた。ほどなく戦争が勃発。フィリピンでの戦闘に召集された父親が帰還したのは終戦後2年も経った頃で、大けがをし、マラリアに罹って働けなくなっていた。親戚を頼って仙台へ。「貧乏暮らしだった」学生時代をそこで過ごした。新聞配達のアルバイトで家に生活費を入れつつ、わずかばかりの小遣いはすべて趣味に使った。
○…趣味は音楽。幼少期、歌謡曲が流行する中、音楽に精通していた母親の影響で、クラシックを好んだ。「楽器も習いたかったが、時間もお金もなかった」。小遣いは交響楽団のコンサートに費やした。それから映画音楽が、そして映画鑑賞が好きになった。今では年に1、2回「シネマパラダイス山崎」と称して集会場で映画会を行い、自分が選んだ映画を流す。「毎回30人くらい集まってくれる。完全に個人的な趣味だけどね」と少年のように目を輝かす。
○…ずっと独身。両親や弟たちの面倒を見てきたため「結婚するチャンスがなかった」という。「ここまで来ると面倒くさいしね」。独り身の気楽さはあるが、やはり少し寂しさもあるという。「でも40年以上この団地の仲間に囲まれてきたから、これはもう家族みたいなもんだよ」。”大家族の父親”は、屈託のない笑顔でそう語った。
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