DLGハム・ソーセージ品質競技会で金賞を獲得した「クロイツェル」店主の 吉岡 学さん 成瀬台在住 49歳
ものづくりにゴールなし
○…先代から引き継いだハム・ソーセージの味。ドイツレシピを元に昇華させ、研究を重ねた。ドイツ人マイスター(職人の最上位)にも意見をもらい、理想の肉を追い求めた。そしてついに世界最古にして最大級の食品競技会「DLG(ドイツ農業協会)食品競技会」で商品『カイザーハック』と『ニュールンベルガー』が金賞をダブル受賞。大手食品メーカーが集う中、個人商店としての受賞を素直に「嬉しい」と喜ぶ。
○…京都出身。染物職人の家に生まれ、ドイツ人の幼なじみと秘密基地づくりや絵を描くのが好きだった。大学進学で上京し、山登りサークルへ。けが人が出ることも珍しくないハードなサークルでヨーロッパアルプスの難所をいくつも廻った。「もう死ぬって何回も思いました」。体力を消耗し食欲もわかない。そんな時、先輩が分けけてくれたものがドイツソーセージだった。「味、食感。今でも鮮明に覚えていますね」
○…大学卒業後は大手製薬会社に入社。がむしゃらに働き20年が経とうとするころ転機はきた。スポンサーとして立ち会うラジオ番組で多くの芸能人とやり取りをする時に気づいた。「楽しんで仕事をしている人、やりたい事をしている人は本当にキラキラしていたんです」。「忘れられないソーセージの味を再現したい」、「会社という枠の外で個人でどれだけやれるか」という想いで会社を早期退職。安定を捨てて夢を追うことに反対する声もあったが、大学で出会った奥さんは応援してくれた。3年間今のお店で修業を始めた。
○…今の頭の中は「いかにお客さんに喜んでもらうか」ということばかり。「ずーっと考えてますよ。『仕事が趣味』で『趣味が仕事』かもしれないですね」と話す目は輝く。「お店づくりも山登りの様にコツコツと追及し挑戦し続けたい。そういうのが僕は好きなんでしょうね」。千里の道も一歩から。ものづくりにゴールはない。
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