4月28日に和光大学ポプリホール鶴川で監督した作品「八月のかりゆし」を上映する 高橋 巖さん 和光大学表現学部准教授 52歳
知らない何かを経験する
○…小さい頃の映画の思い出は夏休みに観た「怪獣映画」。バスに揺られて行くだけでも「冒険心」が駆り立てられ、上映を告げるブザーの音にワクワクした。ただ、「自分で撮ろう」なんて夢にも思っていなかった。「きっかけは覚えてないんですよ」。高校2年生のころ、家に合った8ミリビデオカメラで、何気なく撮影し始めた。仲間たちが徐々に集まってきて、CMやドラマのワンシーンを撮影して楽しんだ。「面白くてしょうがなかった」と振り返る。それでも、映画の道に進むとは考えていなかった。
○…大学受験を失敗したことで、映像の専門学校に進む。「あの時、大学に進んでいたら、映像サークルで楽しんだだけで、今の自分はいないだろうな」と笑う。技術を本格的に学び、仲間や同年代の映画監督の新しい表現技法に刺激を受けることで、ドンドン映像の世界に足を踏み入れていった。卒業後、2年間の補助教員を経て、映画の世界に入る。
○…初めて携わった作品は、実相寺昭雄監督の「帝都物語」。助監督として演出など手がけた。スケールや求められる仕事内容に「プロの世界は違う」と感じた。それと「学園祭のようなノリだな」とも思った。その後、実相寺監督の会社に入社し、テレビドラマなどを手掛け始めた。
○…「映画を作っていると多くの人が集まってくるんだよね」。監督として仕事をするようになり、『人』とのつながりを改めて感じた。「自分のしたいことを伝える能力、相手の力を引き出す能力…」。人と人が刺激し合って新たな一面を発見する。映画の魅力は「知らない世界を旅すること」。2時間の旅の中で何かを経験する。観客ばかりでなく、作り手も『何かを経験』する。撮っていて、「俺ってこんなこと考えていたのか」と思う時があるという。現在は2008年から准教授として学生に刺激を与え、学生から刺激を受ける。「学生はいきなり変化する」。これも知らない世界だった。
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